セールスフォースは、ビジネスアプリケーションのマーケットプレイスとして「Salesforce AppExchange」を提供し、パートナーエコシステムに注力しているが、9月10日に開いた会見ではユーザー企業がパートナーとなる事例を披露した。
砂利を採取して販売する斉藤砂利工業(北海道幕別町)は、Salesforceを事業運営に活用していたが、その知見を他社へ展開、定着化を支援する「クラウド業務革新」に着手している。
セールスフォース 執行役員 アライアンス事業AppExchangeアライアンス部 部長 御代茂樹氏は「活用支援という取り組みは複数のSaaSアプリケーションを導入するパートナーエコシステムとして重要」だと、エコシステムの広がりをアピールした。
もう1つの事例が、クレストホールディングス(港区)に2019年9月から傘下に加わった東集(港区)である。同社は創業64年を数える木材卸業。想像するに容易く、紙・電話文化の企業だった。
2020年1月からクレストホールディングスの最高執行責任者(COO)と最高戦略責任者(CSO)に就任した東集 代表取締役社長 望田竜太氏は「データが残らないため、目標数値やKPIがなく、PDCAも回らない。参加した当時の平均年齢は40代後半だった」と振り返る。
半年で同ホールディングスと同等のレベルへ押し上げるという目標を掲げて、東集のDX化に着手。ISDNだったネットワーク回線を光ファイバーに置き換え、旧型のデスクトップPCはノートPCやタブレットに刷新した。Sales Cloudに加えてマーケティング用にマーケティングオートメーション(MA)ツール「Salesforce Pardot」、コミュニケーション基盤は「Workplace from Facebook」を導入した結果、企業の付加価値率は7%も向上し、20~30代の3人の雇用に成功したという。
望田氏は「レガシー産業のDXは難しいが、『変わらなければレガシー産業は終わる』というトップのコミットメントを伝えることが重要。現場の抵抗勢力には泥臭い説得と熱意を。徹底的なシステム投資も重要。投資費用は効果が出れば回収できる」と成功理由を説明した。
続けて望田氏は「毎日何か新しい情報(機能)をリリースして、社員を変革に慣れさせる」「紙が必要な取引先にはPDF化したデータを印刷して対応するなど、既存ビジネスを崩さない仕掛けも必要」だと語った。