Denodo、データ仮想化の最新版「Denodo Platform 8.0」を発表

藤本和彦 (編集部)

2020-10-06 15:58

 Denodo Technologiesは10月6日、データ仮想化基盤「Denodo Platform 8.0」を発表した。最新版では、ユーザーインターフェース(UI)がウェブ化された他、分析パフォーマンスの向上、GraphQLのサポート、ハイブリッド/マルチクラウドの対応強化、データカタログの機能拡張などが図られている。

 Denodo Platformは、データ統合に分類される製品。データの複製を作成せず、データ仮想化と呼ばれるデータソースの抽象化により、ノンプログラミングで論理データウェアハウスを定義することができる。150以上のコネクターが用意されており、さまざまなデータソースの統合が可能になっている。

 多くのビジネスインテリジェンス(BI)ツールと連携可能で、メタデータとデータの探索用にデータカタログ機能も提供する。他システムからのデータ参照用にAPIも提供可能になっている。Denodo Platform 8.0は8月に正式版がリリースされた。

 最新版では、シングルサインオン(SSO)機能を備えた統合ウェブベースUIが導入された。各種ツールの入口をウェブポータルで統合し、設計ツールや診断ツール、スケジューラーなど、全てのツールにアクセスできるようになった。環境やツールごとにアクセス権限を設定可能で、最新のナレッジベースやオンラインマニュアルも参照できる。

 データ開発者向けのデザインスタジオも追加された。ウェブベースのためクライアントPCへの管理ツールのインストールが不要なほか、ウェブブラウザーのみでデータのモデリングが可能になる。「従来は、開発者に要件を伝えてデータの加工を依頼していた部分が、ユーザー自身でデータの加工が可能になる」とDenodo Technologies プリセールスエンジニアの平井孝典氏は説明する。

デザインスタジオの利用イメージ デザインスタジオの利用イメージ
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 分析パフォーマンス向上については、新たに「スマートキャッシング」機能が追加された。これは、クエリーでよく利用される集計結果をサマリーとしてキャッシュに持つ仕組みになる。負荷の掛かる集計計算を事前に保持するため、数十倍のクエリー高速化が可能だとする。次期アップデートでは、過去の集計クエリーをもとに、使用が推奨されるサマリーキャッシュの作成を人工知能(AI)がリコメンドするようになるほか、将来的には過去のアクティビティーを学習して自動チューニングする計画もあるという。

スマートキャッシングの特徴 スマートキャッシングの特徴
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 Denodo Platform 8.0には、Apache Zeppelinベースのノートブック「Denodo Notebook」も搭載する。クエリー、スクリプト、グラフィックス、テキストを組み合わせて、ナラティブ(物語)を作成、共有することができる。DenodoにつなぐJDBCの設定などが事前に定義された形で提供される。

 GraphQLはAPIからデータを取得するためのクエリー言語になる。2012年にFacebookで開発され、2015年にオープンソース化された。REST APIの欠点を克服する目的で開発されており、データを関連するエンティティーをグラフ構造として取り扱えるようになる。

 具体的には、Denodo Platformの仮想データモデルに対してGraphQLクエリーの宣言的実行が可能で、APIリクエスト数を低減したり、データ取得時に入れ子になった大量リクエストを排除したりすることができる。Denodo側でビュー定義を行うだけでノーコーディングでGraphQLからのアクセスが可能になる。REST APIと比べてパフォーマンスが高い点も特徴の一つだという。

 Denodo Platformの構成管理ツールである「Solution Manager」からAmazon Web Services(AWS)へ自動でデプロイできるようになった。クラスターの作成と管理、サーバーの起動と停止、診断・監視ツールの設定など、AWS側での作業のほぼ全てを自動化できる。将来的にGoogle Cloud Platform(GCP)にも自動化を対応の予定。これにより、オンプレミスとクラウドのハイブリッド構成や、複数クラウドサービスを使ったマルチクラウド構成でのデータ統合に対応する。

 データカタログ機能は、Denodo Platform上にあるデータセットを検索するためのもので、最新版では使用頻度の高いデータセットへのパーソナライズされたレコメンデーションとショートカットなどが表示されるようになる。「自動レコメンドによってユーザーのデータ利用の機会と意識を向上する」(平井氏)

 将来の機能追加では、ユーザー間あるいはユーザーと管理者間のコラボレーション機能の強化も計画されている。

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