クラウドフレア・ジャパンは10月15日、従業員向けのクラウド型ネットワーク基盤「Cloudflare One」の提供を開始した。「ゼロトラスト」のための統合ツールセットを提供し、「すべての接続の安全性を確保」「ゼロデイ攻撃からの保護」「既存セキュリティソリューションとの統合」「ネットワークの一括監視・管理」を可能にする。
米Cloudflare 最高技術責任者(CTO)のJohn Graham-Cumming氏は「“ゼロトラスト”は社内でもう何年にもわたって利用されてきたものだ。Cloudflare Oneによって社外のユーザーにも広く活用してもらえるようになった」と前置きした上で、まず現在の企業ネットワークの変化をもたらした要因として「クラウドコンピューティング」「モバイルコンピューティング」「SaaS」の3つを挙げた。
米Cloudflare CTOのJohn Graham-Cumming氏
これらは企業の周りを強固な防壁で囲む境界型セキュリティモデルでは防御できないため、「企業とインターネットの間だけではなく、インターネット上にも“壁”が必要になっている」と同氏は指摘。さらに「ユーザーIDやアプリケーション、データなど、インターネットに存在する重要なリソースを守るためのクラウドサービスが必要になる」として“ゼロトラスト”を従来の“壁”に変わるセキュリティソリューションと位置付けた。
Cloudflare Oneについては「DDoS(分散型サービス妨害)保護、WAF(Web Application Firewall)、オーセンティケーション、VPN(仮想私設網)、SD-WANといった各種機能を統合し、ネットワーク全体を運用管理できる単一のインターフェースとなる」とし、提供の背景として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行を挙げた。
同氏は「COVID-19の影響で、私自身もそうだが、世界中で多くの人が在宅勤務やリモートワークを余儀なくされた。このため、多くの人が仕事をする環境が従来の“社内ネットワーク”から“インターネット”に移行した。Cloudflare Oneはこうしたリモートワークユーザーをサポートするものだ」という。
クラウドフレア・ジャパン 日本代表の青葉雅和氏
また、クラウドフレア・ジャパン 日本代表の青葉雅和氏は「日本企業の多くはインターネットの活用に際してセキュリティを厳しく確保してきたが、現在はクラウドやSaaSの利用拡大や新型コロナウイルスの流行を受けたモバイルアクセス/在宅勤務の増加などもあって、社内ネットワークの意味がなくなってきている」と指摘。リモートユーザーが一度社内ネットワークにログインしてから改めてインターネットに出ていく形にして従来のセキュリティシステムをそのまま運用するスタイル自体が無駄だとしつつも、「VPNからゼロトラストに移行するのは大きなアーキテクチャーの変更だ」とも語り、ユーザー企業にとっての導入障壁は低くない点に理解を示した。
その上で同氏は、日本のクラウドシフトが海外に比べて遅れていたため、このタイミングでのCloudflare Oneの市場投入はちょうどこれからクラウドシフトに着手するユーザーが導入するタイミングに間に合った形になるのではないかとの見解を示した。なお、Cloudflare Oneの国内での提供価格は未定だが、米国での標準価格はシート当たり月額5ドルだという。