米Cloudflareは7月20日、アジア太平洋地域(APAC)の最新拠点として日本法人「クラウドフレア・ジャパン」を設立したと発表した。日本代表には青葉雅和氏が就任した。
クラウドフレア・ジャパンの日本代表に就任した青葉雅和氏
2010年に創業の同社はセキュリティやパフォーマンス、信頼性を備えたより良いインターネットの構築を目指している。創業から数カ月後には東京に、2015年には大阪にもネットワーク拠点(PoP:Point of Presence)を開設した。既に日本でも事業を展開していたが、これまでは無償ユーザーやスタートアップなどの利用が主ということで、日本法人の設立には至らなかったという。
東京本社の設立によって、「日本人スタッフによる日本語でのサポート」(青葉氏)が提供できるようになり、主にエンタープライズ向けの事業を展開していくという。
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まず同社の概要を説明した米Cloudflare APAC代表のAliza Knox氏は「インターネットは元々、セキュリティ、パフォーマンス、信頼性に対する要求に応えるように設計されてはいなかったが、今やビジネスの“生命線”となっており、商取引やコミュニケーションの手段にもなっている」と指摘。「企業やユーザーはインターネット上のアプリケーションを保護し、マルウェアなどからの攻撃やネットワークの混雑・遅延に対処できる手段を必要としている」と語った。
こうした必要性に対応すべく、従来企業ではさまざまな種類のネットワーク機器、VPN(仮想私設網)、ファイアウォール、ルーター、トラフィック最適化/ロードバランサーなどのネットワークサービスを実現するためのハードウェア製品を導入していたわけだが、同氏はこれらを「“バンドエイド”のような箱(“BAND-AID” Boxes)」と呼ぶ。こうした“間に合わせの対策”ではインターネットの本質的な問題を解決できず、コストや複雑性を増大させてしまう上、これらのハードウェアはそもそもクラウド向けに設計されてはいないとした。
また同氏は、昨今のクラウド移行の流れについて「ユーザーはオンプレミスのハードウェアやソフトウェアを購入するモデルから、クラウドサービスを利用するモデルへと移っており、アプリケーション、ストレージ、コンピューティングは既に移行した。今は、ネットワークレイヤーがクラウドに移行しつつある段階だ」と語った。その上で同社は、企業ユーザーがインターネットに求めるセキュリティ、パフォーマンス、信頼性を、「統合されたコントロールプレーンを介して提供できる」とした。
クラウドフレア・ジャパンの日本代表に就任した青葉雅和氏は、日本法人の事業について「インターネットを早くセキュアで簡単に使えるようにする」とまとめた上で、「今は10人以下の所帯だが、年末までに追加で10人、2020年はさらに追加で15人ほど」というペースで増員していく計画を明かし、「Cloudflareが米国で培った技術に日本の心を入れて提供していく」と語った。