マイクロソフト、法律・規制課題をITで解決する「Microsoft Digital Trust RegTech Alliance」を発足

阿久津良和

2020-10-27 12:44

 日本マイクロソフトは10月27日、同社やパートナー企業、法律事務所および弁護士が連携して組織内の不正やハラスメントを検知し、問題の早期解決を目指す「Microsoft Digital Trust RegTech Alliance」を発足したことを発表した。

 ここでは、Microsoft 365やMicrosoft Azureのコンプライアンス(法令順守)機能やパートナー企業のソリューションに法律分野の専門知識と経験を加え、コンプライアンスソリューションの提案や導入、運用サービス、コンプライアンスワークショップを提供する。アライアンスには19のパートナー企業と6つの法律事務所が参画し、今後1年で30社程度の参画と10件程度の事例構築を目指す。また、同社は28日から2日間、セキュリティをテーマとしたオンラインイベント「Digital Trust Summit 2020」の開催も予定している。

「Microsoft Digital Trust RegTech Alliance」の参画企業と法律事務所
「Microsoft Digital Trust RegTech Alliance」の参画企業と法律事務所

 マイクロソフトは、2019年10月にパートナー企業がMicrosoft 365やAzure Active Directory(AAD)などのAPIを活用して自社サービスを提供する「Microsoft Digital Trust Security Alliance」を発足させている。当初目標だった50社/100ソリューションを上回り、現在は55社/120ソリューションを提供中。同日のオンライン説明会で技術統括室 CSO(チーフセキュリティオフィサー)の河野省二氏は、顧客から「(法律の)専門家と相談できるようになった。もう1つは課題を『Microsoft 365 コンプライアンスマネージャー』のダッシュボードやスコアで伝えられた」と感謝の声を受けたことを明かした。

日本マイクロソフト 技術統括室 CSO(チーフセキュリティオフィサー)の河野省二氏
日本マイクロソフト 技術統括室 CSO(チーフセキュリティオフィサー)の河野省二氏

 セキュリティおよびコンプライアンス対応は、全ての企業や組織が抱える課題だが、日本弁護士連合会(日弁連)および帝国データバンクが2017年8月に報告した調査結果(有効回答1万5450社)によれば、各種社内規定の策定やコンプライアンスを課題に挙げる中小企業は21.3%に上る。

 日弁連は2010年7月から法務に携わる弁護士が相談対応する「ひまわりほっとダイヤル」を通じて、中小企業や個人事業主の法的課題に対応してきた。Microsoft自身も社内のコンプライアンスを強化するため、当初は社内ツールだった内部不正リスクの特定と対応を実現する「Insider Risk Management」や、訴訟対応ツールの「Discover and Respond」などをMicrosoft 365のサービスとして提供している。

 さらに、場所に依存しないデータ保護と管理を実現する「Information Protection and Governance」や、コンプライアンスチェックを簡素化する「Compliance Management」も活用するMicrosoft Digital Trust RegTech Allianceの発足に至った。コンプライアンス担当ディレクターのHye Jun氏は、「世界中でコンプライアンスとリスク管理の需要が高まる中、われわれのコンプライアンス関連知識とパートナー企業や法律事務所が密に連携し、顧客の課題に立ち向かえることをうれしく思う」と述べた。また、現在パブリックプレビュー版として提供中のデータ損失防止(DLP)ソリューション「Endpoint Data Loss Prevention」が今後日本語に対応することも合わせて明らかにした。

Microsoft コンプライアンス担当ディレクターのHye Jun氏
Microsoft コンプライアンス担当ディレクターのHye Jun氏

 Microsoft Digital Trust RegTech Allianceでは、「RegTech(RegulationとTechnologyを掛け合わせた造語)」領域として、顧客と対面する幹事企業/メンバー企業が法律事務所から判例や法令など事案に関する情報提供を受けつつ、顧客へのソリューション提案や導入支援、運用サービスの提供など活動を主題に掲げている。さらに、各企業は法律事務所に対してクラウド活用事例やコンプライアンスツールを紹介することで「相互の専門性向上に努める」(日本マイクロソフト 業務執行役員 政策渉外・法務本部 副本部長 弁護士 舟山聡氏)としている。

日本マイクロソフト 業務執行役員 政策渉外・法務本部 副本部長 弁護士の舟山聡氏
日本マイクロソフト 業務執行役員 政策渉外・法務本部 副本部長 弁護士の舟山聡氏

 顧客に対しては、コンプライアンスツールなどを用いた法律的な意見交換やセミナーの開催も予定しており、舟山氏は、「セキュリティに関わる法務問題はコンプライアンスに関係する。データ保護や社内不正にまつわる部分は(Microsoft Digital Trust Security Allianceと)ディスカッションできる枠組みを目指す」と語った。

Microsoft Digital Trust RegTech Allianceの活動概要
Microsoft Digital Trust RegTech Allianceの活動概要

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