ITRは10月28日、2021年に企業が注目すべき13のIT戦略テーマを発表した。これらは「ビジネス遂行」「組織・カルチャー」「プラットフォーム」の3つの観点から、テクノロジ戦略を軸とするITトレンドを取りまとめまたもの。
2021年のIT戦略テーマは、「ビジネス遂行」では「テックネイティブ指向による競争優位性の確立」「顧客に成功体験を提供するためのビジネスプロセス/組織体系の確立」「顧客体験を創造する非対面のデジタルチャネル強化」「業務の自動化・無人化の加速」「5Gネットワークによる高度なデジタルおよびバーチャル変革の実現」が挙げられている。
また「組織・カルチャー」では、「組織内の意思決定メカニズムの変革」「デジタルを前提とした組織カルチャーへの転換」「デジタルイノベーションに向けたIT投資の推進」「仮想的なチームコラボレーションの実現」が挙げられている。
「プラットフォーム」の観点では、「デジタルを前提としたエンタープライズシステムの再構成」「クラウドネイティブ・アプリケーションによるイノベーション推進」「テレワークを前提とした企業内学習環境の再構築」「ゼロトラストネットワークに向けたセキュリティアーキテクチャの再編」が挙げられている。
「ビジネス遂行」の「業務の自動化・無人化の加速」ではソーシャルディスタンスの確保、人と人の接触機会の削減に対するニーズの高まりを契機に、AI(人工知能)分野でも自動化・無人化に即したソリューションやアプリケーションの導入が進むとしている。また「5Gネットワークによる高度なデジタルおよびバーチャル変革の実現」では今後、国内でプライベート5G(第5世代移動体通信システム)ネットワークにスタンドアロン方式が導入されることで、モバイル・エッジコンピューティングやネットワークスライシングなどの新サービスも商品化されるとしている。
「組織・カルチャー」の「デジタルイノベーションに向けたIT投資の推進」では、不確実なイノベーション創出型の投資において、投資の容認や続行を判断できる弾力的な評価手法の採用が求められると指摘しており、「仮想的なチームコラボレーションの実現」では、コロナ禍によって一般化したテレワーク(在宅勤務)は、将来的にも一定の割合で定着し、組織に属さず単発で仕事を請け負うギグワーカーも増加すると予想している。
「プラットフォーム」の「デジタルを前提としたエンタープライズシステムの再構成」では、デジタル技術で業務の「ムリ・ムダ・ムラ・属人性」を省く自動化だけでなく、デジタル化されたデータをIT空間から現実世界の作業やシステム群にフィードバックするスマート性と、洞察や予測からアクションを実施できるスピードと最適性を企業間で向上していかねばならない、としている。
また「ゼロトラストネットワークに向けたセキュリティアーキテクチャの再編」では、従来の境界型防御モデルのセキュリティアーキテクチャーでは、高度化・複雑化したサイバー攻撃を防ぎきれなくなりつつあり、さらに社内システムのクラウド化の進行によりデータの流れが大きく変わってきていると指摘している。