自動認識機器を展開するゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン(ゼブラ)は、3月に発表した「第12回小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果について、再び説明を実施した。第1弾は消費者の視点で分析していたが、第2弾の今回は小売業者の視点で分析している。
同調査の対象は、6300人以上の消費者や小売店従業員、小売業界幹部。調査期間は2019年8~9月で、調査地域は北米、中南米、アジア太平洋、欧州、中東になる。調査期間は新型コロナウイルス感染症の流行前のため、今回の説明ではコロナ禍の影響も加味して語られた。
ゼブラ 社長の古川正知氏
ゼブラの米国本社によると、コロナ禍以前からEC(電子商取引)の普及は進んでおり、日用品だけでなく生鮮食品のオーダーも行われていたという。受け取り方法には、自宅に届けてもらう従来のスタイルのほか、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)もある。自家用車での通勤が一般的な海外では、ECで注文したものを仕事帰りに受け取って車に乗せることができる分、BOPISとの親和性が高いとみられる。
そしてコロナ禍では、感染リスクを避けるため、モバイルオーダーがさらに増えているという。だが、BOPISでは店内の商品をピッキングするため、在庫の減りが加速し、店舗を訪れた消費者が商品を買えないという事態が生じている。また自宅配送でも、物流倉庫ではなく、注文者の自宅近くの店舗から送るやり方が普及し始めている。こうした背景から、同社は「サプライチェーン全体における在庫の可視化が求められている」としている。
小売業者は同調査の時点から、在庫状況をリアルタイムで可視化するテクノロジーへの投資を計画していたという。小売業者が既に提供している/2021年までに提供を予定しているツールには、ケースやパレット(荷役台)ごとのRFIDなどがある(下図参照)。一方、ゼブラ 社長の古川正知氏は「ツールを導入するだけでなく、物流倉庫/店舗の在庫状況や、工場に発注している品物が倉庫へ到着するスケジュールを把握する仕組みが必要」と語った。
(出典:ゼブラ)
説明では、米小売大手Targetの事例も紹介された。Targetはテクノロジーを活用することで、商品のピッキングを効率化し、スムーズな配送やBOPISを実現している。例えば、入ってきた注文から順に処理するのではなく、システム側が効率的なピッキングの順番を指示したり、梱包に最適な箱のサイズを指定したりしている。その結果、店舗からの出荷能力が30%以上向上したという。また、物流倉庫ではなく店舗でピッキングすることで、コストが約40%削減されたとのことだ。