Appleは、自社で開発したSoC「M1」を、Macシリーズ(「MacBook Air」「MacBook Pro」「Mac mini」)に積極的に搭載した。この戦略がこのまま進めば、Intelのプロセッサーからの脱却は、数年ではなく数カ月で終わる可能性もある。
最大の問題は、MacでIntel製プロセッサー用のアプリを実行するためのテクノロジーである「Rosetta 2」が、どのくらいうまく動作するかだ。しかし、もしRosetta 2が期待通りの力を発揮できれば、Intelからの脱却にかかる時間は、同社が予想している「数年」よりも早まるかもしれない。
同社がどこへ向かっているかはお分かりだろう。AppleはIntelベースのMacのサポートを続けるが、マーケティングではM1を前面に押し出すはずだ。現在注文できるM1搭載製品は、Mac miniが699ドル(日本では税別7万2800円)、MacBook Airが999ドル(同10万4800円)、MacBook Proが1299ドル(同13万4800円)からという価格帯だが、これは今後上位グレードが発売される可能性があることを示している。同社が目指すのは、「iPhone」から「iPad」、Macにシームレスにつながるワークフローを実現し、すべての製品で「App Store」のアプリを実行できるようにするかもしれない。
最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は、「これで、Macで実行できるソフトウェアがますます増える」と述べている。
ただし、鍵になるAdobeの「Photoshop」やTableauなどのアプリケーションを、M1搭載Macでどれほど良い形で実行できるかはまだ分からない。Appleによれば、Adobeなどの主要なソフトウェアメーカーは数カ月以内にアプリケーションのM1版を開発する予定だというが、それまでの間は、多くのことがRosetta 2に依存することになる。
注目すべきポイント
- Appleは、クリエイティブ業界のプロフェッショナルや開発者、データサイエンティストなどに向けてM1プロセッサーをアピールした。Appleが本当に狙っているのは、ボトムアップのアプローチで企業のM1搭載デバイス導入を促進することだ。このアプローチは、企業にiPhone、iPad、Macを導入させる際には成功した。
- 「iPhoneからiPad、Macにシームレスにつながるワークフロー」というフレーズは、企業にM1搭載Macを検討するよう説得するための手段の1つだ。
- 開発者は数時間で移行できた。紹介されているいくつかの体験談では、開発者が切り替えは簡単だったと述べている。Appleは明らかに、Intelからの移行を早めるためには、M1に対する開発者からの支持が必要だと認めているのだろう。
- Mac miniは、「Appleシリコン」に懐疑的な人たちへのメッセージだ。699ドルのMac miniなら、実際に試してみた上で、普段利用しているワークフローやアプリケーションにAppleシリコンを導入した際の制約を確認することができる。
MacBook Air