富士通は品川区と共同で、文献データを300冊以上の専門書籍から瞬時に検索できる電子書籍AI(人工知能)検索システムの有効性を検証する実証実験を開始した。
このシステムは、自然文や類義語の高度な検索が可能なAI検索エンジンにより、戸籍関連の専門書籍で国内トップシェアの日本加除出版の電子書籍から、戸籍事務に必要な文献や該当箇所を瞬時に検索できる。
導入効果のイメージ(出典:富士通)
サービス導入後のイメージ(出典:富士通)
婚姻届や出生届などの審査や受理手続きを行う自治体の戸籍事務では、審査/判断の根拠となる文献データの検索を行う。今回の実証では、これまで職員が都度、関連書籍の中から該当記事を手作業で探していた手間や時間の削減効果だけでなく、削減した時間を他の住民サービス向上に充てることによる定性的効果も検証していく。また、アジャイル開発方式を採用することで実証期間中に改善点を洗い出し、柔軟かつ素早くシステム改善や強化も実施していく。
品川区や日本加除出版と共同で、過去20年分300冊以上の書籍を電子書籍化して網羅性を確認するとともに、品川区が所蔵する書籍以外に必要な書籍があれば随時追加して電子書籍化を実施していく。
また、各種法令や先例を含めた電子書籍データをAIに学習させ、類義語や用語辞書を拡充する。自然文やキーワード、分類項目などの簡易入力検索で、300冊以上もの書籍から該当書籍や過去の判例抽出を実現できるように、AIの自然言語処理能力や同義語/類義語の判定精度を向上させることで、戸籍事務の経験の浅い職員でもスムーズに過去の判例を検索できるなど、業務効率化への効果を検証していく。
さらにシステムをクラウド上で展開する際の導入手順や、新刊書籍のデータ化からシステムへデータを学習させるタイミングなど、導入後のアップデートにおける標準仕様の実現性や運用について、戸籍業務の有識者などを交えて整理する。