富士通とNTTデータが相次いで、社会課題の解決に取り組む「ソーシャルデザイン」の推進組織を新設した。日本のITベンダーの代表格である両社のこの動きは何を意味しているのか。
NTTデータが本日付けで「ソーシャルデザイン推進室」を新設
NTTデータが10月29日付けで、デジタル社会の実現に向けた取り組みを全社横断的かつ強力に推進する組織として「ソーシャルデザイン推進室」を新設した。10月19日に発表したもので、新組織を設けた思いや取り組みについては、以下のように説明している。
同社では、デジタル社会の実現に向けては公共分野のみならず業界を超えて、社会を俯瞰したサービスの全体像を描き、設計すること、また生活者視点を大切にしていくことが不可欠だと判断。そのためには、経済、社会、技術などに関する幅広い知見を持ち、新たな社会をデザインしていく力のある人材の確保とその育成が大きな課題になる、と捉えている。
同社自身、それらの課題に向き合い、グループ内人材の育成に励むとともに、社会に対してCDO(最高デジタル責任者)やCTO(最高技術責任者)となりうる人材やチームを送り出すことにも取り組む構えだ。
また、社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献すべく、同社が携わってきた社会システムの構築により蓄積した経験/ノウハウや海外で手掛けた事例などを活用した解決策の提案、他の企業との幅広い連携、さまざまなコミュニティー活動への参画などをさらに積極的に実施するとしている。
図1が、NTTデータの社内組織におけるソーシャルデザイン推進室の位置付けだ。各事業部門を横断するとともに、経営トップの直轄組織であることがポイントである。
NTTデータにおけるソーシャルデザイン推進室の位置付け(出典:NTTデータ)
一方、富士通もNTTデータに先立ち、7月1日に「ソーシャルデザイン事業本部」を新設した。同社が7月30日に開いた経営方針の記者説明会で、時田隆仁社長が公表した。また、10月13日に開いた研究開発の戦略を説明した会見でも、同社の古田英範副社長兼CTOが図2を示しながら、次のように説明した。
技術の実用化を推進する中での富士通のソーシャルデザイン事業本部の役割(出典:富士通)
「技術の実用化を推進する上で、ソーシャルデザイン事業本部は、社会課題の解決に向けてさまざまなサービスやノウハウの知見を活用し、新たなビジネス価値の創出によって市場を開拓する役目を担っている」