医薬品の開発受託など医薬品関連ビジネスを手がけるグループ24社を率いるシミックホールディングス(港区)は、名刺管理サービス「Sansan」を活用している。シミックホールディングス コーポレートビジネスデベロップメント部 担当部長 成田周平氏が、10月28日に開かれたオンラインイベント「Sansan Innovation Summit 2020」に登壇した。
シミックホールディングス コーポレートビジネスデベロップメント部 担当部長 成田周平氏
成田氏は「デジタルが可能にした横断型プロジェクト推進~Key Account Managementの構築~」と題して講演。Sansanをベースに「個別のファンクションではなく、マネージャーが顧客ごとに必要なファンクションを取捨選択するアジャイル型組織」の“Key Account Management(重点顧客管理)”を構築することで「俯瞰視点のマネジメントが可能になった」と語った。
日本で承認される医薬品数は1年間で約120品目。その医薬品開発の8割に何らかの形で関与している同グループは、「医薬品は開発から市場販売に至るまで10~15年の期間を必要とし、サポートし続けなければならない」(成田氏)
同グループは国内46カ所、海外16カ所のオフィスや工場、研究所を保有しているため、「長期間かつグローバル展開のなか、顧客との信頼関係強化が重要」(成田氏)であることは明白だ。
必然的に名刺情報の統合を必要とした同グループは、それまで事業会社単位で異なるソフトウェアを用いていた名刺情報をSansanに集約。個人所有だった名刺情報を会社資産とし、現在は約120人のSansanアカウント、累計約7万枚の名刺情報を保有している。
名刺情報を活用した重点顧客との信頼関係を醸成するためのKey Account Managementは、300社以上の取引先を取引額による並び替えることで重点顧客を発見し、顧客接点をSansanで集計することで担当者間の情報共有と作戦会議を可能にした。
成田氏は「各クライアントとのコンタクト状況を踏まえて、接点の多い人から情報を収集することで、クライアントへのアクションが弱い部分が分かる。また、トップマネジメント同士による接点の有無などから、俯瞰した視点でのマネジメントが可能になった」と利点を語る。
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当然ながらシミックグループは、各情報をもとにした行動計画や戦略を立てている。事業会社単位で売り上げや取引先との接点など各情報を可視化し、「たとえば接点が少なくても取引額が多いケースはコミュニケーションが結果に結びついていないので、異なるファクションで攻める。逆に接点が多いのに取引額が少ない場合は、攻め方など個々に戦略を練り直す」(成田氏)
活動記録のデジタル化や「Microsoft Outlook」と「Salesforce」の連携など、いくつかの課題を抱える同グループだが、オンライン名刺交換活用方法を一番の課題に挙げている。
講演の中でもオンライン名刺を示していたが、「返ってくる(名刺交換する)ケースは多くない。どうのように顧客の名刺を集めるか、信頼関係を構築していくかが課題だ」(成田氏)と述べつつ、Sansanで多様な情報を分析し、有効なアクションにつなげたいと展望を語った。