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進化論から考える--個人の幸せと組織の冗長性、デジタルとの付き合い方

阿久津良和

2020-12-11 06:45

 12月2日にネオジャパンが開催したオンライントークイベント「NEOJAPAN 未来会議」で「働き方が多様化する現代社会で何が起きているか?」に続いて、「人のための組織のあり方とは?」をテーマに議論が交わされた。

 登壇したのは、前半に引き続いて羽衣国際大学(堺市西区) 現代社会学部 教授でタレントのにしゃんた氏、フリージャーナリストの西田宗千佳氏、広島大学大学院 統合生命科学研究科 教授 長沼毅氏。モデレーターはベンチャーキャピタル米Scrum Venturesの戦略担当バイスプレジデントの桑原智隆氏が務めた。

「変化に最もよく適用できるものが生き残る」は誤った引用

 後半では、前半の最後に長沼氏が発言した「生物にとって重要なのは進化=変化である。生物学でいえば適応だが、変化できるか否かはとても重要だ」から口火を切った。

広島大学大学院 統合生命科学研究科 教授 長沼毅氏
広島大学大学院 統合生命科学研究科 教授 長沼毅氏

 長沼氏は進化論で著名なCharles Darwinが述べたであろう「最も強い者や賢い者が生き残るわけではない。変化に最もよく『適用』できる者が生き残るのだ」が誤った引用であり、Darwinの発言ではないと説明する。この発言はルイジアナ州立大学の経営学教授だったLeon C. Megginsonのものだという。

 長沼氏は自身の意見として「いずれも異なる。運が良かった者が生き残るのだ」と持論を説明した。続いて「生存競争においては、環境に最もよく適応した者がライバルを出し抜ける」「人間(および動物)の長い歴史においては、最も効果的に協力と工夫をした者が勝利を収めた」といった誤った引用例を示した。

 「進化論は目的論ではない。すべて結果論である。遺伝子の突然変異で最初の生物は『いや~参ったな~』と思うだろうが、もって生まれたカタチで何とか頑張って生き延びるのが生物学を貫く原理」(長沼氏)

 さらに放射線への耐性で有名な微生物「デイノコックス・ラジオデュランス」を取り上げ、「人間なら5秒で死に至る放射線を浴びても大丈夫。放射線をはねのける細胞膜を持たず、破損したDNAを修復する治癒力が非常に強い。デイノコックス・ラジオデュランスはゲノム情報を4コピー以上保持し、冗長性を実現している」(長沼氏)

 その冗長性はブロックチェーンの論理と同等で、組織も一見ムダに見える組織や人材を保持することの重要性を示した。

 長沼氏の意見に対してモデレーターの桑原氏がパネリストに意見を求めると、にしゃんた氏は「日本でも保健衛生状態が悪い時代は、誰が生き残るか保険を掛けるように子だくさんだった」とコメント。続いてにしゃんた氏は「DNAを複数持つ利点は」と尋ねた。

 長沼氏は「生物にとって一番重要なのは『自分と同じ遺伝子を残す』こと。いわゆる20世紀的な説明なら、利己的な遺伝子。ただ、複数の種が協力し合いながら繁栄していくことが明確になったのが、21世紀の発見」と回答した。

フリージャーナリスト 西田宗千佳氏
フリージャーナリスト 西田宗千佳氏

 西田氏は半導体と極限生物の類似性に着目。「スマートフォンのフラッシュメモリーは大量の撮影データを格納できる。細密化も理由の1つだが、もう1つは一定のデータが破損しても構わない。経年劣化でも他が代替する仕組みを当初から取り入れたから。だからこそLSIの世界は発展した。この類似性は面白い」とコメントした。

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