IDC Japanは12月24日、「国内エンタープライズインフラ市場 システムタイプ別予測」を発表した。2020年の同市場を前年比6.1%減の7151億6800万円、2019~2024年の年間平均成長率(CAGR)をマイナス1.8%、2024年の同市場を6952億800万円と予測している。
IDC Japanの定義するシステムタイプは以下の通り。この予測では、システム基盤プラットフォームと機器/装置制御システムを「Other」に分類している。
- SoR(Systems of Record):法人や個人事業主の事業活動(商取引)や公的機関における公的サービス提供活動の記録や処理を行うシステムである
- SoE(Systems of Engagement):エンゲージメントには外部エンゲージメントと内部エンゲージメントがある。外部エンゲージメントは主に顧客および取引先との関係性である。内部エンゲージメントは社員や従業員との関係性である。ここでは顧客エンゲージメントに関わるシステムのみをSoEとして扱う
- SoI(Systems of Insight):収集したさまざまなデータの分析を通して、洞察(インサイト)を得るためのシステムである
- システム基盤プラットフォーム(SIP:System Infrastructure Platform):システムを安全かつ安定的に連携して運用するためのシステムや、コミュニケーションや共通ファンクションを提供するためのシステムである。技術計算やアプリケーション開発などの用途も本システムタイプに含める
- 機器/装置制御システム(A/DCS:Apparatus/Device Control Systems):医療機器、キオスク端末、ビルファシリティー管理、自動倉庫システム、ファクトリーオートメーションにおける産業用ロボットや工作機械などの制御を主目的とするシステムである
- SoR on Public Cloud:10.4%
- SoR on Private Cloud:9.7%
- SoR on Traditional:-9.3%
- SoE/SoI on Public Cloud:10.5%
- SoE/SoI on Private Cloud:10.3%
- SoE/SoI on Traditional:-8.2%
- Other on Public Cloud:10.3%
- Other on Private Cloud:10.3%
- Other on Traditional:-7.2%
システムタイプ別のCAGRは、SoRがマイナス4.4%、SoE/SoIがマイナス0.4%、Otherがマイナス0.1%を予想している。
SoRでは、パブリッククラウドが前年比7.8%増の385億6900万円、プライベートクラウドが同1.7%増の206億2800万円、トラディショナルが同20.5%減の1999億9700万円と予測。SoE/SoIでは、パブリッククラウドが同6.2%増の199億5300万円、プライベートクラウドが同1.4%増の133億8300万円、SoE/SoI on Traditionalが同21.6%減の508億2500万円を見込む。Otherでは、パブリッククラウドが同12.6%増の895億7800万円、プライベートクラウドが同5.7%増の378億800万円、トラディショナルが同1.1%増の2444億2800万円になるとしている。
2020年は、OtherがSoRやSoE/SoIに比べ、全ての配備モデルで相対的に大きく成長するという。Otherには、回線サービスを提供するシステムやメール、オンラインミーティングなどのコミュニケーションおよび情報共有ツール用のシステム、セキュリティ関連の用途が含まれまる。新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛や企業に対するテレワーク推進の要請、教育分野におけるオンライン授業の活用などの需要が背景にあり、ビデオストリーミングやコンテンツの拡充、理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」の出荷もOtherに分類される。
主なタイプの2019~2024年の5年間のCAGRは以下の通り。
同社 エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は、「新型コロナウイルス感染症の大流行で多くの企業や組織におけるIT投資余力の低下やトラディショナルからクラウドへのシフトの加速が見込まれる。エンタープライズインフラベンダーは成長分野にフォーカスした適切な戦略と実効性のある戦略遂行上の仕組み作りを求められている」と述べている。