松岡功の「今週の明言」

「行政のデジタル化はユーザーフレンドリーに」-- 産業界からも要望

松岡功

2021-01-08 11:40

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、電子情報技術産業協会 会長の石塚茂樹氏と、日本マイクロソフト 執行役員常務パブリックセクター事業本部長の佐藤亮太氏の発言を紹介する。

「デジタル庁には“ユーザーフレンドリー”な仕組み作りを目指してほしい」
(電子情報技術産業協会 会長の石塚茂樹氏)

電子情報技術産業協会 会長の石塚茂樹氏
電子情報技術産業協会 会長の石塚茂樹氏

 電子情報技術産業協会(JEITA)は先頃、「電子情報産業の世界生産見通し」と、注目分野に関する動向調査として「ITリモート市場の世界需要額見通し」、およびJEITAの取り組みについて発表した。説明に立った石塚氏(ソニー 代表執行役 副会長)の冒頭の発言は、その発表会見の質疑応答で、設立準備中の「デジタル庁」に対するユーザー視点での要望を問われて答えたものである。

 電子情報産業の世界生産見通しについては、2020年の世界生産額が前年比2%増の2兆9727億ドルで過去最高を更新し、2021年もプラス成長が続いて3兆ドル超えとなりそうだ。詳細は発表資料をご覧いただきたい。

 ITリモート市場の世界需要額見通しについては、年平均14.8%で成長し、2030年には228.3兆円と、2020年に比べて約4倍に拡大しそうだ。市場の成長を牽引する利活用分野としては、「インダストリー」「流通/物流」「テレワーク」「エンタメ/スポーツ」を挙げている。こちらも詳細は発表資料をご覧いただきたい(図1参照)。

図1:世界のITリモート市場の利活用分野別需要額見通し(出典:電子情報技術産業協会)
図1:世界のITリモート市場の利活用分野別需要額見通し(出典:電子情報技術産業協会)

 石塚氏の会見で筆者が最も印象深かったのは、社会におけるデジタル化や政府が設立を進めるデジタル庁への期待についての発言である。同氏はまず、自らのプレゼンテーションの中で次のように述べた。

 「今回、注目分野として取り上げたITリモートをはじめ、今後あらゆる分野においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことから、JEITAはますます重要な役割を担うことになると考えている。もはやデジタル化に無縁の業界はなく、むしろ必須要件であり、何のためにどのようにしてデジタルを活用していくかということが、重要な課題となっている」

 また、デジタル庁については「行政のデジタル化だけでなく、行政が保有するデータを活用することによって、民間のDXを促す“司令塔”としての役割を期待している」と話した。

 会見の質疑応答では、デジタル庁に対してさらにユーザー視点での要望を問われて次のように答えた。

 「行政のデジタル化に向けて、産業界かららはユーザー視点でとにかく使い勝手の良い、ユーザーフレンドリーな仕組み作りを目指してほしいと要望している。デジタル化は目的でなく手段。デジタルによって国民がどのようなメリットを得られるか、体験することができないといけない。そのポイントはユーザーフレンドリーな仕組みかどうかだ」

 物腰の柔らかい石塚氏が、この発言では力が入っているように見えたのが印象的だった。

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