欧州連合(EU)の医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は、同庁を標的としたサイバー攻撃で、ハッカーが不正にアクセスした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンに関する情報が流出したことを明らかにした。
EMAに対する攻撃は2020年12月に公表され、EMAは調査が継続中だとしていた。
EMAは現地時間1月12日、声明で次のように説明した。「EMAへのサイバー攻撃について進められている調査から、不正アクセスを受けた、COVID-19の治療薬やワクチンに関連する第三者所有の文書の一部がインターネットに流出していることが明らかになった。法執行機関が必要な措置を取っている」
「EMAは引き続き、データへの不正アクセスに関する犯罪捜査に全面的に協力し、文書や個人データが不正にアクセスされた可能性がある組織や個人に通知する」(EMA)
EMAの業務や欧州の医薬品規制ネットワークは不正アクセスの影響を受けておらず、新型コロナウイルスワクチンの承認や流通には影響しないという。
EMAは12月、ハッカーは特定のITアプリケーションに侵入して情報にアクセスしたとしていた。また、攻撃者は新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンに関連するデータを狙っていたと明らかにした。攻撃に関する調査は、現在も続いている。
新型コロナウイルスワクチンの開発や流通に関連する製薬企業や組織はこれまでにもハッカーの標的となっている。英国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は以前、大学や科学施設が、国家の支援を受けて研究データへのアクセスを試みるハッカー集団の標的になっている可能性があると警告していた。
Microsoftも11月、ロシアと北朝鮮のハッカーが新型コロナウイルスワクチンを製造する製薬会社などを標的にしているとして注意喚起した。世界保健機関(WHO)は4月、WHOに関連するサイバー攻撃が増加しているとしていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。