IDC Japanは1月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がプリント行動に与える変化を発表した。
プリンター/複合機を業務で使用する正社員600人を対象に、COVID-19の影響で増加した在宅勤務の状況、在宅勤務環境下でのプリント行動の実態などを分析。
在宅勤務者が何らかの形でプリントしている現状や、COVID-19収束後もデジタルと紙を併用できるハイブリッドな働き方を望む声などを伝えている。
緊急事態宣言下でも40.6%が“印刷のために出社”
2019年は7.2%だった業務遂行時間における在宅勤務の割合は、2020年4~5月の緊急事態宣言発出中に49.3%に上昇。解除後となる10月は35.6%だったという。従業員規模500人以上の中堅~大企業、首都圏と関西圏で高いという傾向があると伝えている。
在宅勤務中のプリント環境は、在宅勤務者の53.3%がプリンター/複合機を未所有。プリントできる場合も会社から正式に許可されている割合は42.3%で、それ以外は禁止あるいは推奨されていない状態だという。
在宅勤務者のプリント内容は、会議資料が46.2%、提案資料が33.7%、電子メールなどが29.8%、レポートが27.9%、見積書が26.9%。業務遂行に必要なビジネス文書が続いたとしている。在宅勤務時のプリント環境は制約が多いが、一部は業務遂行のためプリントしているという。
2020年の緊急事態宣言発出期間中にはプリントするためだけに出社する社員の存在が問題となったが、今回の調査でも在宅勤務者の40.6%がプリントするためだけにオフィスに出社したと回答したという。
2020年の緊急事態宣言発出中にプリントするためだけにオフィスに出社した経験の有無、n=182(出典:IDC Japan)
プリントした文書は、経理書類が33.7%、会議資料が32.6%、提案資料が29.2%、契約書が28.1%。経理、契約といった事務処理、顧客提示資料には物理的な紙が必要と推察している。
一定数が“在宅勤務できない”
COVID-19収束後の「ネクストノーマル」社会については、44.4%が会社の勤務形態を変えていくべきと回答したという。在宅勤務とオフィス出社を組み合わせる働き方の支持が多い一方で、一定数は自分自身の業務は在宅勤務できないと考えていると説明。
また、業務を遂行するための紙は残るという意見は多く、29.7%が「書き込み、修正が簡単」、19.2%が「ディスプレイは小さくて見にくい」、17.6%が「情報が自分の記憶に残る」などの用途を回答したという。ネクストノーマルの社会で働き方が大きく変化するにはある程度の時間がかかるとしている。
IDC Japanでイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーを務める石田英次氏は「COVID-19収束後のネクストノーマルの社会においては、在宅勤務とオフィス勤務、そしてデジタルと紙を組み合わせたハイブリッドな働き方が普及する。ベンダーには、こうした新しい働き方を包括的に支援するプリント環境の提供が求められる」とコメントしている。