日本テラデータは2月16日、2021年の事業戦略を発表した。記者会見した代表取締役社長の髙橋倫二氏は、企業でのデータ活用の重要性が認識されつつあるもののまだ不十分とし、データ活用をさらに促す施策を展開するという。

日本テラデータ 代表取締役社長の髙橋倫二氏
会見の冒頭で髙橋氏は2020年の事業動向を振り返り、分析プラットフォーム「Teradata Vantage」におけるクラウドサービスユーザーが拡大していると報告した。グローバルでの通期業績は、年間経常収益が前年比11%増となり、パブリッククラウドの年間経常収益が1億600万ドルに増加。日本法人もクラウドユーザーの拡大などにより2桁成長が続いているという。
髙橋氏は、直近の企業IT市場がコロナ禍の影響で鈍化しているものの、データ分析はデジタルトランスフォーメーションの新規事業開発などを目的とした需要増で堅調との見方を示した。ただ、データ分析環境を試行するなどのプロジェクトが途中で頓挫するケースが多いとし、「データ活用の重要性がまだまだ認識されていない。この打開には『最高データ責任者(CDO)』の設置など推進する体制作りが不可欠」としている。
2021年の事業戦略では、次の5点を掲げる。
- Teradata Vantage最新製品のタイムリーな市場投入
- 既存顧客の活用促進を支援するカスタマーサクセス部門の設立
- 新規顧客の導入を支援するトライアル提供
- CxO向けデータ活用推進支援
- パートナーとの連携強化
Vantageは、1月にリリースした最新版(V2.2)で主要なIaaSやオンプレミスの稼働環境に本格対応したほか、パブリッククラウドおよびオンプレミスのオブジェクトストレージにシームレスに接続する「Native Object Store」機能を追加した。また、データサイエンティスト向け機能群の「Vantage Analytics Library」も提供する。Microsoft AzureとGoogle CloudのマーケットプレースにおけるVantageの取り扱いも開始されたという。

Teradata Vantage 2.2の新機能「Native Object Store」

データサイエンティスト向け「Vantage Analytics Library」の内容
新設のカスタマーサクセス部門は、Vantageユーザーなどに利用促進を図る支援を行う。また、2020年に開設したエグゼクティブブリーフィングセンターを活用する経営層向けのラウンドテーブルを行う。新規顧客の獲得に向け、Vantage最新版を30日間利用可能なトライアル版を提供し、リセールパートナーやISVパートナーの新規開拓、パートナーとの共同販売促進活動も展開していくとした。
これら施策の鍵とするVantageでは今後、外部連携のためのAPI拡張や、IoTなどのストリーミングデータのサポートなどを予定。直近では、データサイエンティストが好みのツールで分析モデル開発などができる「Bring Your Own Model」も開始する。テクノロジーセールス事業部長の小永井崇氏によれば、金融機関では数万レコードのスコアリング処理を従前の数時間から数分に大幅短縮するなどの効果が確認されているという。

「Bring Your Own Model」