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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」

オブジェクトストレージの利用拡大とその背景を考察する

Brian Burns (クラウディアン)

2021-02-22 07:00

 過去10年間で、クラウドと仮想化技術は、情報技術の分野において多くの投資、リソース、そしてそれに伴う進歩を遂げてきたといっても間違いありません。特にこの5年間、その進歩の多くはプライベートクラウドにパブリッククラウドと同様のメリットをもたらすことに重点が置かれてきました。その中心となっているのがストレージ、特にオブジェクトストレージです。

 オブジェクトストレージはクラウドにとって最適なストレージプラットフォームです。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などの幅広いサービスで採用されており、現代のクラウドワークフローに必要不可欠な要素となっています。API駆動型のアプリケーションやインフラストラクチャ―、運用性の高さ、スケーラビリティー、堅ろうなセキュリティ、耐障害性などが挙げられます。

 APIは、最新のアプリケーションとインフラストラクチャーを連携させるために必要であり、全てのワークフローで中心的な役割を担ています。これによってアプリケーションはインフラストラクチャーに対して宣言的なリクエストを行うことができます。宣言的コマンドでは、アプリケーションは何がどのように行われるかを命令的に記述するのではなく、単に何が行われるかを要求することができます。まるで、自分で食事を作るのではなく、ウェイターに食事を持ってきてもらうのと同じようなイメージです。

 宣言的な操作には、アプリケーションの開発とインフラストラクチャーのデプロイがより速くなるという利点があります。オブジェクトストレージプラットフォームの中には、REST APIをネイティブにサポートしているものもあります。REST APIはウェブベースのワークフローにおいて事実上の標準APIです。REST APIでクラウドベースのワークフローを駆動させることにより、アプリケーションの開発とインフラストラクチャーの運用が大幅に効率化されます。クラウドワークフローとインフラストラクチャーを採用する上で、これは最も重要な要素となるでしょう。パブリッククラウドやプライベートクラウドはこうした恩恵を享受できるわけです。

 APIは、ストレージの設定/管理、アプリケーションからの透過的なストレージの読み書き、ストレージ容量の拡張に至るまで、ストレージのあらゆる面にメリットをもたらします。 パブリッククラウドはストレージの容量拡張が簡単ですが、最新のオブジェクトストレージプラットフォームの中には、プライベートクラウドにも同様のシンプルさをもたらしているものがあります。オブジェクトストレージの自前管理が進むにつれ、容量の追加はサーバーを増設してマウスクリックだけで簡単にできるようになります。

 最近のオブジェクトストレージプラットフォームの多くは、パブリッククラウドと同じように使いやすく、運用しやすいように設計されています。多くのグローバル企業は、組織全体にサービスを提供するために複数のデータセンター、多くの場合は複数の国にオブジェクトストレージサーバーを設置しています。このストレージサーバーのネットワークはシングルネームスペースのストレージとして構成され、組織のどの部門あるいは世界のどの地域でも適切な認証情報を持っている人であれば、誰でもストレージにアクセスして利用することができます。

 まるでパブリッククラウドのように聞こえるかもしれませんが、より安全なプライベートクラウドであり、その利用は単一の企業に限定されます。ただ、本質的には同じものであり、企業のさまざまな部門に安全性の高いストレージの「バケット」を割り当て、各バケットには個別のサービス品質、アイデンティティーとアクセス管理のスキーム、暗号化と圧縮の設定、課金設定などが提供されます。実際、多くの企業がこのような「共有サービス」を全社的に提供しており、パブリッククラウドのように各部門に利用料金を請求することで、企業はIT部門をコストセンターからプロフィットセンターに変えることができます。

 では、プライベートクラウドとパブリッククラウドが同じものであれば、なぜパブリッククラウドを利用しないのでしょうか。プライベートクラウドのストレージコストはパブリッククラウドの何分の一かに過ぎないからです。ほとんどのパブリッククラウドのストレージサービスは、データを保存するために一見妥当な価格が請求されますが、データにアクセスしたり内部ネットワークを介して送信したりした場合には、非常に高い料金が請求されます。

 その他の大きな理由としては、セキュリティとパフォーマンスが挙げられます。実際、IDCの調査によると、85%の企業が2019年の1年間でワークロードをパブリッククラウドからプライベートクラウドに戻し始めたと回答しており、さらに驚くべきことに平均的な企業では、今後2年以内に現在パブリッククラウド上にあるワークロードの50%近くをオンプレミスに移行すると予想されています。

 プライベートクラウドでは、サイバー攻撃などのセキュリティ上の脅威からデータを保護するだけでなく、オブジェクトストレージの広範なデータ保護メカニズムにより、故障したディスクやサーバー、データセンター全体の障害などからデータを保護し、最大99.999999999999% のデータ回復力を提供することができます。

 また、オブジェクトストレージプラットフォームの中には、日本政府や金融機関が認めているFIPSやコモンクライテリアなど、世界各国の政府や金融機関が求める高いレベルのセキュリティを提供するものもあります。ランサムウェアなどのサイバー攻撃が日本のみならず世界的に急速に拡大している中、オブジェクトストレージはデータの不変性というユニークなソリューションを提供しており、企業は内部の管理者であっても決して改ざんや削除ができない企業データのバックアップコピーを作成することができます。

 従来のデータ保護スキームでは、新たなランサムウェア攻撃の猛威に追い付けず、これらの保護スキームが重要になってきています。攻撃を受けた企業の85%は既に最新のエンドポイント保護を利用しているといわれており、攻撃者が侵入して本番システムにマルウェアを設置した場合でも復元できる不変性を有するコピーを作成することが重要になってきています。

 要約すると、セキュリティ、コスト、パフォーマンスは、日本や世界の企業がパブリッククラウドストレージに代わる/補完するものとして、プライベートクラウドでオブジェクトストレージを利用するようになってきている最大の理由です。言い換えると、オブジェクトストレージの利用により、重要な要素であるセキュリティ、コスト、パフォーマンスの各要素が最適化されることになります。結果として、パブリッククラウドとプライベートクラウドのギャップを感じることなく、オンプレミスにあるオブジェクトストレージの利用拡大につながります。

Brian Burns
クラウディアン 代表取締役
日本を含めアジア太平洋地域でセールス、マーケティング、およびパートナー事業提携の取り組み全般をリード。以前日本のゼネラルマネージャーであったHashicorpで日本担当のゼネラルマネージャーを務めた後、Cloudianに入社。前々職のHortonworksでは北アジア地域副社長として日本市場に貢献した。
Cybersource(VISA)やMicrosoftなどの米国テクノロジー企業の戦略的市場参入とアジアでの拡大に焦点を当てて過ごした。カリフォルニア大学バークレー校で工学のMBAとBSを取得し、慶應義塾大学にも在籍。在日15年以上で、現在東京に拠点を置く。

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