日本オラクルは3月3日、日本を含む世界14カ国約9000人を対象にした「Money and Machines: 2021 Global Study(財務領域における人とロボット・AIの関係)」の調査結果を発表した。
77%の一般消費者と企業・組織の管理職以上は、財務管理で自分以上にロボットや人工知能(AI)を信頼すると回答している。日本国内に限定すると割合は94%まで増加し、14カ国中最上位。しかし、AIを活用した財務管理の実施状況は14カ国の平均51%を大きく下回る最下位の27%となっている。
日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部 本部長 野田由佳氏は「(財務管理にAIを活用する)取り組みは進んでいない。自社や市場に人材がいないのか、ROI(投資利益率)が明確ではなく、着手できていない状況が明確になった」と分析する。
85%が「財務業務をAIで改善」
Money and Machines: 2021 Global Studyは、米本社Oracleから依頼を受けたSavantaが2020年11月10日~12月8日にアラブ首長国連邦やインド、オーストラリア、オランダ、サウジアラビア、シンガポール、ドイツ、フランス、ブラジル、メキシコ、英国、中国、日本、米国の14カ国の一般消費者や企業・組織に属する管理職以上の回答者9001人を対象に調査。3月3日に開かれた記者会見では「ビジネスユーザーに限定」(野田氏)して調査結果が解説された。
85%の回答者はAI/ロボットが財務業務を改善できると考えており、内訳を見ると「不正の検知(33%)」「請求書の作成(27%)」「コスト・利益の分析(18%)」といった領域での改善を求めている。83%の回答者はAI/ロボットからの財務管理支援を望んでおり、「予算編成と予測(45%)」「レポート(35%)」「コンプライアンスとリスク管理(31%)」「承認業務(27%)」といった領域が回答に並んだ。
コロナ禍における顧客エンゲージメントの創出やビジネスモデルの変更に取り組むと回答した企業・組織の平均は64%だが、日本は14カ国中最下位の38%。非接触などの需要からデジタル決済が注目を集めつつも、同分野への投資は14カ国平均69%。日本は14カ国中13位の41%にとどまった。
これらの調査結果から野田氏は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む緊急度が高まっている。将来のビジネス展望を踏まえた複数の展開手法を用意し、現状と比較して考えなければならない。これまでよりもデータドリブンが重要になっている。AIが提示するデータをもとに意思決定を下さなければならない」と提言する。
また、財務・経理部門の役割も大きく変化すべきだと持論を語った。野田氏は、財務・経理部門について「経営判断を促進するようなデータやシナリオを(経営層に)提供する戦略的業務へのシフトが必要かつ、求められている。そのためには、よりインテリジェントなシステムが欠かせない」と述べつつ、Oracle Cloud Applicationsの利点を主張した。
野田氏は「(データのサイロ化を排除した)シングルデータモデルにより、データ突合の自動化などを経て、高品質のサービスを提供できる。利用者が『AIの機能なのか』と分からないように機能を提供するチームがあり、データ請求処理の自動化や各プロセスにおける例外データを分類して例外処理を学び、優先順位付けした上で管理者にアラートを発する」仕組みが財務・経理部門でも有益だと強調した。