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NTT Com、欧州「GAIA-X」とのデータ流通に向けた相互接続を実証

國谷武史 (編集部)

2021-04-08 13:58

 NTTコミュニケーションズは4月8日、欧州で進む「GAIA-X」プロジェクトでのデータ流通に向け、相互接続に関する技術を用いてスイスやドイツとの安全なデータ流通に成功したと発表した。夏以降に国内企業などと実証実験を行うとともに、GAIA-Xの正式提供を見据えて2021年度以降の商用化を検討していくという。

 GAIA-Xプロジェクトは、欧州連合(EU)が主体となって、データの主権やプライバシー、セキュリティを確保しながら円滑なデータの連携や流通、活用の実現を目指す取り組みになる。欧州では、2019年からルールや法規制、制度の在り方などが議論され、2021年中に実施法の採択が予定されている。

国際的なデータ流通における大きな課題がデータのプライバシーやセキュリティになるという(NTTコミュニケーションズの説明資料より)
国際的なデータ流通における大きな課題がデータのプライバシーやセキュリティになるという(NTTコミュニケーションズの説明資料より)
「GAIA-X」を通じたデータ流通の仕組み(NTTコミュニケーションズの説明資料より)
「GAIA-X」を通じたデータ流通の仕組み(NTTコミュニケーションズの説明資料より)

 データ流通のための技術的な仕組みとしては、EUが40億~60億ユーロ規模の投資を通じてIaaS、PaaS、SaaSの分散型のクラウド環境の整備を進めている。この環境に、「IDSコネクター」と呼ばれる仕組みを介して、既存のクラウドサービスあるいは欧州以外の国や地域などが整備するデータ流通プラットフォームが接続される形が計画されている。IDSコネクターは、データへのアクセス制御や、機密データと流通可能なデータの分類、データ流通に関する契約や手続きなどの標準化、自動化、GAIA-Xへの接続を希望する相手の審査や認定といった広範な機能を担うものになるという。

 2020年秋には推進組織の「GAIA-X AISBL」がベルギーで設立されており、2021年秋にGAIA-Xのプロトタイプ、2021年末に初の正式版となるバージョン1、2022年以降にバージョン2がリリースされる計画にある。

 欧州がGAIA-Xを推進する背景には、国際的なデータ流通の取り組みがハイパースケーラーと称される米国や中国の大手のクラウドサービス事業者によって主導されている実態があるからだとされる。EUでは、GAIA-Xを通じて欧州におけるデータやプライバシーなどの主導権を確保するとともに、国際的なデータ流通の仕組みを整備することで、産業分野や環境保護といったさまざまな課題の解決に必要なデータの活用を実現したいとの狙いがある。

国際的なデータ流通・連携のイメージ(NTTコミュニケーションズの説明資料より)
国際的なデータ流通・連携のイメージ(NTTコミュニケーションズの説明資料より)

 この日会見したNTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 事業推進部 スマートファクトリー推進室担当部長 エバンジェリストの境野哲氏は、上述したGAIA-Xの状況を説明するとともに、日本企業がGAIA-XやIDSコネクターへの対応を遅れてしまうことでの影響を指摘した。対応の遅れによってGAIA-X内部のデータにアクセスできなくなり、既存のビジネスに広範な影響が出る恐れのあるほか、GAIA-X未対応システムや製品を欧州市場で販売、提供できなくなることや、GAIA-Xに対応していくための製品開発コストの上昇などによる国際競争力の低下を招くなどのリスクが生じかねないと指摘する。

 実証実験は、同社が日本企業におけるGAIA-Xへの対応を支援する目的で行ったという。GAIA-Xを含め世界各国・地域で検討されるデータ流通基盤の具体的な仕様などはまだ固まっていないため、今回はNTT研究所が開発を進める安全なデータ流通を実現するための各種技術をNTTコミュニケーションズのデータ活用基盤「Smart Data Platform」に実装したプロトタイプを構築した。

 実験では、日本側のこのプロトタイプとスイスのイノベーションパークおよびドイツ・フラウンホファーの研究拠点がIDSコネクターで接続されたテストベッドを用意。スイスの施設にあるドローンの生産ラインで生成される部品や製品ごとの二酸化炭素排出量に関するデータを安全に日本やドイツで共有・流通できることを確認した。これにより、例えば、日本企業が欧州の製造拠点へ生産を発注する場合に、製造拠点から必要なデータだけを活用して二酸化炭素の排出抑制など環境に配慮した取り組みを推進できるようになるという。

 同社は、今回の実証実験の結果を4月12日からドイツで開催されるハノーバーメッセで発表し、欧州側に日本の取り組みを提案していくという。また、国内では夏頃にGAIA-Xへ接続するためのテストベッドを構築し、産業機器メーカーやシステムインテグレーター、GAIA-Xを将来利用する可能性のあるユーザー企業、学術機関らとさらなる実証を進めることにしている。

 本格的な商用展開などについて境野氏は、GAIA-Xの正式リリースや日欧間の調整などの状況にもよるが2022年頃を見込んでいるとし、通信事業者として国際的な安全なデータの相互接続を実現させていきたいとの抱負を語った。

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