米TechRepublicのKaren Roby記者が、Qualtricsの製品およびサービス担当プレジデントであるBrad Anderson氏にインタビューし、最高情報責任者(CIO)が新しいハイブリッドワークモデルにおいて従業員満足度と従業員エンゲージメントの向上にどのような貢献ができるのかを尋ねた。以下では、そのインタビューを書き起こして編集した内容を紹介する。
Roby記者:言うまでもないことですが、2020年に重大な変化が起こりました。誰もがリモートワークを余儀なくされ、人々にとってさまざまな物事、働き方、仕事に対する気持ちが大きく変わりました。それから1年が経過した今、経営者は従業員の仕事に対する気持ちにうまく対処しているのでしょうか。
Anderson氏:的を射た質問ですね。従業員の体験は、CIOが以前よりもはるかに熱心かつ意図的に測定するようになったものの1つです。当社が2020年初頭から2020年後半にかけて実施した調査では、意見を聞くためのソリューションを積極的に導入して、従業員の体験を理解しようとしている組織の割合が、51%から69%に増加しました。しかし、大きなギャップがあります。具体的には、従業員に聞き取り調査を行ったところ、92%は会社が積極的に意見を聞くシステムを活用することが極めて重要だと回答しましたが、そうしたシステムに寄せられた意見に組織が積極的に対応していると回答した従業員はわずか5%でした。したがって、CIOは積極的に耳を傾ける必要があるということを理解していますが、従業員から見ると、自分たちの意見に経営者が積極的に取り組んで行動を起こすことをしていないと感じているところにギャップがあります。
Roby記者:こういう問題があることを認識したうえで、従業員が自分のしている仕事に前向きな気持ちを持てるようにするために、経営者は具体的に何をする必要があるのですか。
Anderson氏:今この瞬間に、このインタビューの収録中に何が起きているかというと、世界中の組織がオフィスを再開し始めていますが、そのペースは場所によって異なります。たとえば当社の場合、オーストラリアのオフィスで全面的に再開されているところは80%になります。しかし、全員がリモートワークをする状況から、オフィス勤務の従業員とオフィス外で働く従業員がいる状況へと移行する中で、こうしたハイブリッドワーク体験の世界は、全員がリモートになった1年前と同じくらい影響力のある変化をもたらすでしょう。というのも、全員がリモートのときは全員が同じ環境で働いていて、すべての声がリモートなので平等な環境になりますが、現在のハイブリッドモデルでは、オフィスの中から、部屋の中から届く声と、部屋の外から届く声があるからです。
したがって、組織が今しなければならないのは、意見を聞く場を設けて、オフィスの内外での従業員体験を理解できるようにすることです。今日のCIOが理解する必要があることについて説明しましょう。CIOはデータの中を泳いでいます。何年も見てきた運用データの中を泳いでいます。従業員が何をどのようにやっているのかは深く理解していますが、ほとんどのCIOが持っていないのは、従業員がなぜそれをやっているのか、どのように感じているのかを示すシグナルです。そして違いがあります。われわれは運用データを「Oデータ」と呼んでいて、これは極めて重要ですが、そのOデータを体験データ、すなわち「Xデータ」と組み合わせる必要があります。それを実現するのがQualtricsです。当社の研究と実績は、従業員の行動の理由、気持ち、感情を理解するのに役立っています。現在、CIOが企業文化に与える影響はかつてないほど大きくなっています。なぜなら、CIOが従業員に提供するデジタルワークスペースが、従業員にとって組織全体の代用品になるからです。