アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)は4月20日、システムのクラウド移行の中で計画立案段階の支援を提供する「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ(ITXパッケージ)」を発表した。
「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ(ITXパッケージ)」の概要
ITXパッケージは、ITシステムを本格的にクラウド環境へ移行し活用していく状況にある企業や組織向けに提供するという。同社はクラウド移行支援の「AWS Migration Acceleration Program(MAP)」を展開しているが、従来は移行検討時に総所有コスト(TCO)を試算・比較する「クラウドエコノミクス」や現状分析の「マイグレーションレディネスアセスメント」、AWS移行後のコスト支援策などだった。
今回のITXパッケージは、MAPの内容を強化するもの。クラウドへの移行計画を立案し具体策を検討する段階を対象に、「人材育成」「クラウド移行推進組織の立ち上げ」「パイロット移行実施支援」「体験型ワークショップ」「担当者による支援」の5つのプログラムで構成されている。
「人材育成」では、「AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト(SAA)」を取得するためのトレーニングの無償利用券を3人分提供する。「クラウド移行推進組織の立ち上げ」では、AWSプロフェッショナルサービスの利用料を推進組織の定義や設計、活動計画およびガイドライン作成などの作業に割り当てられるようにした。
クラウド推進組織(Cloud Center of Excellence)の立ち上げ支援内容
「パイロット移行実施支援」では、クラウドの適合度が高く移行優先度の低いシステムを選定し、本格的な移行前の試験的な移行(パイロット)の実施を支援する。また、「体験型ワークショップ」では、クラウド移行を成功させるためのノウハウや成功体験を獲得するExperienced Based Acceleration(EBA)を開催する。
体験型ワークショップ「Experienced Based Acceleration」
「担当者による支援」は、Customer Solutions Managerと呼ばれる同社の顧客担当者がクラウド移行のさまざまなプロセスにおいてサポートを提供する。アプリケーションの再開発やクラウド環境への再ホストといったシステムに応じた採用手法の検討、移行戦略の立案・管理といった支援を長期に渡るプロジェクトの中で顧客に寄り添いながら行っていくという。
担当者の「Customer Solutions Manager」が顧客に伴走してクラウド移行を支援する
同日記者会見した事業開発統括本部長の佐藤有紀子氏は、クラウド移行を決めた企業では、人材や方法、手順、評価などに不安を感じ、支援を求める声が根強くあり、日本法人独自の支援策としてITXパッケージを準備したと説明。また、技術統括本部レディネスソリューション本部本部長 プリンシパルソリューションアーキテクトの瀧澤与一氏は、「AWSには多数のクラウド移行実績があり、そのベストプラクティスとともにCustomer Solutions Managerが顧客と並走しながら支援を行う」と述べた。
アマゾン ウェブ サービス ジャパンの佐藤有紀子氏(左)と瀧澤与一氏