問題はコンピューターだけなのか?
ここまでの内容だと、IBM iの継続利用に何も問題が無いように見えるが、実はそうではない。古いもの、変えていかなければならないレガシーなものは以下のように存在するのである。
A.長年継承してきた古いアプリケーション(詳細は前回の記事を参照)
B.A.を維持するためのベテラン技術者の頭の中だけにあるノウハウ
C.AS/400時代で止まっているIBM iの利用の仕方とノウハウ
要は、器や道具はどんどん新しくなっているのだが、それらの新しい面は活用せず、昔ながらのやり方で昔の仕組みを、跡継ぎを作らずに開発、運用して今まで過ごしてきたという状況が問題なのである。器であるコンピューターや道具である基本ソフトウェアを一般的にオープンシステムと呼ばれているものに変えたとしても何も解決しない、ということを意味している。
新しくしなければいけないものの本質を知ろう
変革すべきものの本質はご理解いただけただろうか?
デジタルトランスフォーメーション(DX)のために、レガシーシステムをオープン化しなくてはいけないなどの文言が世の中で踊っているが、IBM iユーザーにとって変えるべきは、ハードウェアでも基本ソフトウェアでもなく、自分たちで作ってきたアプリケーションとそのメンテナンス、追加開発、管理の仕方をオープン化、近代化することが本質なのである。
次回は、「新しい情報技術を知ろう--刷新ってオープン化すること?」と題し、オープン化の実体と注意点をわかりやすく解説する。
(第3回は6月中旬にて掲載予定)
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。