日立の新サービスにみる「ニューノーマル時代のサイバー防衛訓練」とは

松岡功

2021-06-03 07:00

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、日立製作所が提供するサイバー防衛訓練サービス「オンラインNxSeTA」を取り上げる。

サイバー防衛訓練サービス「NxSeTA」をオンライン化

 日立は先頃、電力や鉄道、上下水道などの社会インフラ事業者向けに、リモート環境からの参加を可能としたサイバー防衛訓練サービス「オンラインNxSeTA」の提供を開始した。

 同サービスは、従来、日立の大みか事業所や顧客企業の拠点および事業所で、重要インフラ分野での高度なセキュリティ人材を育成する場として多数の訓練実績を重ねてきたサイバー防衛訓練サービス「NxSeTA」(Nx Security Training Arena)をオンライン化したものである。(図1

図1:「オンラインNxSeTA」の概要(出典:日立製作所) 図1:「オンラインNxSeTA」の概要(出典:日立製作所)
※クリックすると拡大画像が見られます

 コロナ禍のリモート環境においても、日立が長年培ってきた社会インフラのOT(制御、運用技術)の経験やノウハウとIT(情報技術)の融合により、実際の社会インフラの環境を再現した模擬システムを用いた実践的な訓練を受けることができる。

 また、オンラインでの提供により、受講者は場所を限定せず、効率的かつ柔軟に訓練に参加することが可能だ。加えて、セキュリティインシデントへの対応スキルで重要な個人および組織のコミュニケーション力やレジリエンス(回復力)を段階的かつ継続的に教育、訓練することができる。

 近年、IoT技術の普及により、社会を支える重要インフラのデジタル化が急速に進む中、サイバー攻撃のリスクが高まるとともに、その攻撃手法も高度化、執拗化しており、世界的な問題となっている。社会インフラに対するサイバー攻撃は人々の生活に多大な影響を与えることから、業界全体でその対策の強化が急務となっている。さらに新型コロナウィルス感染拡大の影響により、企業の業務環境も変化しており、リモート業務を適用したインシデント対応能力、運用の整備、組織間の連携強化が重要となっている。

 そうした状況の下、社会インフラ事業では効率的かつ柔軟なセキュリティ教育機会の提供を実現する教育のオンライン化へのニーズも高まっている。日立が今回発表した新サービスは、こうしたニーズに対応するものである。

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