日本マイクロソフトの協力の元、「デバイス・アズ・ア・サービス~新しいPCの運用とモノのサブスクを考える~」(カナリアコミュニケーションズ刊)を上梓しました。それを記念して(?)、前回に引き続き、日本マイクロソフトが考えるDevice as a Serviceの定義について解説します。
日本マイクロソフトでは、Device as a Serviceを4つのステップで定義(下図参照)しています。
- STEP 1:CAPEX(初期費)からOPEX(運営費)へ
- STEP 2:ユーザー中心の管理モデル
- STEP 3:クラウドベースの管理基盤
- STEP 4:セルフサービス化
前回は、STEP1「CAPEXからOPEXへ」とSTEP2「ユーザー中心の管理モデル」を解説しました。今回は、STEP3「クラウドベースの管理基盤」から解説します。
なぜ、Device as a Serviceにはクラウドベースの管理基盤が必要なのでしょうか。
As a Serviceに欠かせない「アップデート」という要素は、オンプレミスのサーバーではなし得ません。ハードウェアだろうが、ソフトウェアだろうが、これまで販売していたモノとは、ユーザーが手にすれば、そこで提供事業者の義務は終わりでした。それが使える状態にあろうが、なかろうが関係ないのです。
一方で、As a Serviceは常に使える状態のモノがユーザーの手元にあるという意味です。日々メンテナンスされ、使える状態であり続け、時間とともに訪れる経年劣化や陳腐化に対してアップデートされ続けて、使い続けることができる――この要素があって、はじめてAs a Serviceと言えます。
オンプレミスサーバーのように、管理者が日々メンテナンスしたり、アップデートしたり、リプレースしたりすることが必要な状況をAs a Serviceと言えない以上、必要な管理基盤がクラウドベースであるのは当然です。私としては、これが欠けたらAs a Serviceと言い難く、STEP3より前でもいいように思いますが、高度化の順番としてマイクロソフトの定義ではSTEP3に位置付けられています。
ただ、このコロナ禍において働き方がテレワーク中心になった今、オンプレミスサーバー中心の管理は難しくなっています。クラウドから直接ユーザーを管理できないと、管理そのものが成り立たなくなっています。コロナ禍は、クラウドベースの管理基盤が当たり前になっていけば、STEPとしての位置づけがもっと手前でもいいかもしれません。