SAPジャパンは6月28日、記者会見を開催。「Human eXperience Management(HXM)」事業の進捗を解説した。
HXMは人材管理システムの「SAP SuccessFactors」と、従業員エンゲージメントシステム「Qualtrics EmployeeXM」を核に、従業員の意見と人事管理の業務データを組み合わせ、従業員と組織全体の活性化を目指す。2020年5月からパートナー企業9社とともに、企業需要に基づいたプログラムの提供を開始している。
(左から)SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人材ソリューション事業本部 本部長 稲垣利明氏、クアルトリクス カントリーマネージャー 熊代悟氏、KDDI 執行役員 コーポレート統括本部 人事本部 白岩徹氏
「取り組みは間違っていないが、効果を得られていない」
業種や業態を問わず新型コロナウイルスの大流行が、ビジネスに大きな影響を与えたことは改めて述べるまでもない。その影響範囲は人事部門にもおよんだとSAPジャパンは述べつつ、コロナ禍における人事部門の取り組み状況として、経団連が2020年8~9月に実施した「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」の調査結果を引用した。
コロナ禍で人事部門が取り組んだものとしては、「公正に評価される人事評価制度の見直し」は80.6%(n=401)、「キャリア形成支援の充実」は63.9%(n=400)、「従業員個人の職務内容や範囲の明確化」は68.4%(n=402)、「上司・部下の定期的なコミュニケーションの強化」は72.1%(n=403)となっている。SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人材ソリューション事業本部 本部長 稲垣利明氏によると、「6~8割(の企業)がすでに実施済み、もしくは実施予定」という。
だが、同社に寄せられた声によれば、「当初思い描いた姿にならず(システムが)形骸化する企業も少なくない。取り組みは間違っていないが、効果を得られていない」(稲垣氏)企業が多いという。稲垣氏は人事戦略と従業員体験の「どちらか一方では実現しない。両者が組み合わせることで効果を発揮する。HXMは人と企業をデジタルでつなぐ考え方」だと解説した。
人事管理と従業員体験の向上を包括的に管理、支援する「SAP SuccessFactors HXM Suite」も、多様な角度から強化を図ってきた。業務アプリケーションを集約したデジタルワークスペースの「Work Zone for HR」は、リモートワークなど多様化する働き方の「ハブだ。事業変化に応じた目標管理にも直感的に対応できる」(稲垣氏)
従業員の能力や職務内容を基に学習キャリアを提案し、自律的な成長を支援する「オポチュニティーマーケットプレイス」、業務内容のデータと従業員の体験データなどを組み合わせるXM(eXperience Management)の強化などを、この1年で実現したという。