Lazuliは8月3日、食品/飲料業界向けに商品に関するデータを統合・管理するためのデータ基盤を構築し、商品情報をデジタル施策に活用するためのAI(人工知能)ソリューション「Lazuli PDP for F&B(Food and Beverage)」の提供を本格的に開始すると発表した。
同社は「世界中の製品情報を整理し、データを民主化する」をミッションとして掲げる新興企業で、AIとクラウドを用いて、世界中の商品情報(商品マスター)をビジネスで利用できるSaaSの開発/提供を進めている。
「Lazuli PDP」は、複数の外部データベースに点在していた商品情報を一括して管理し、またデータを活用しやすい形に整理、拡張するためのデータ統合基盤で、「メーカーや小売業者、製薬業者などが保有する多様な商品マスターデータをAIで名寄せし、効能や製品の特徴からメタタグの付与や関連付けを行うという。Lazuli PDP for F&Bでは、食品・飲料向けに特化した機能を追加したものになる。
Lazuli PDPの概要とLazuli PDP for F&Bでの追加機能(中央付近の赤色部分)
同社 最高顧客体験責任者(Chief eXperience Officer:CXO)の國貞航氏は、Lazuli PDP for F&Bの提供を開始する背景となった食品/飲料業界におけるデータ活用の課題として「食品/飲料は低単価商品が多く、SKU(最小管理単位)数が多くなる傾向にある。デジタルな販売チャネルを活用するためにかかるデータ整備コストが大きい」「消費者へのより良い購買体験の提供はどの企業にとっても必要な取り組み。UX(ユーザー体験)を追求するほど必要なデータは増え、従来のやり方ではコストはかさむ」という2点を指摘した。
具体例として、例えば、店頭販売の場合、消費者が購買時に参考にする情報はおおよそ商品名と価格くらいだという。一方、同じ商品をオンラインで販売するとなると、カテゴリー分類や商品画像、魅力的な商品説明文やスペック情報、レビューや口コミ情報など、ユーザー向けに提示したい情報の量が膨大になる。これまではこうした膨大な情報をほぼ手作業で整理し、「職人芸のようなExcelシートにマクロなどを使って情報整理」していた例も珍しくないという。こうした状況に対し、Lazuli PDFでは「AIによる商品情報の正規化/拡張でリテールDXを支援」する。
Lazuliの代表取締役で最高経営責任者/最高技術責任者(CEO/CTO)の萩原静厳氏
今回、食品/飲料向けに特化した機能として追加されたのは「メタタグ」「商品名正規化」「名寄せ」の3機能。メタタグは、「食品/飲料の特徴をより精度高く抽出し、より使い勝手の良いカテゴライズで分類」する機能。商品名正規化は、「食品/飲料の商品名に混ざりがちな不要後を除却し、コアとなる商品名を抽出」する機能。名寄せは、「同一ブランドの複数商品バリエーション数が多い食品/飲料の商品慣習に合わせた名寄せ」を実現するものになる。
これらの機能を活用することで、オンライン販売などで使われる、検索のためのタグ情報の付与や、ユーザーが指定した製品名で確実に検索にヒットするような製品名の統一などが容易に実現できるようになる。
製品開発に当たっては関連業界の大手企業がPoC(概念実証)に参加しているとのことで、一般提供を開始するに先立って既に大手飲料メーカーと大手食品加工・卸業の2社で導入済み、その他5社でテスト導入中だという。なお、同社が示した実績では、あるEC(電子商取引)サイト事業者で作業時間が98%削減(30日から30分)、人員数が90%削減(10人から1人)という結果も得られたという。
Lazuli CXOの國貞航氏