三井住友海上火災保険(三井住友海上)は、より高度なデータの分析や活用を通じた事業の成長を目指し、Informaticaのエンタープライズクラウドデータ管理ソリューションを導入した。インフォマティカ・ジャパンが発表した。
保険業界は、リスク評価や保険料率の精緻化が不可欠なことから、データの活用や分析に早くから注力していた。しかし、特定の部門や業務に偏ったデータ分析や定型的な分析手段が主流となっていたため、部門を横断したデータ分析や非構造化データも対象とした、より高度なデータ分析/活用が求められていた。
三井住友海上では、こうした課題に対応するため、個別部門/業務ごとに存在していた複数のオンプレミス型DWH(データウェアハウス)を一体化し、2019年秋に新たな統合DWHをクラウド基盤上に構築。しかし、当時は社内にデータカタログが存在していなかったほか、作成したデータマートを別のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールで活用することや、パースによる分析なども実行できていなかったという。
そこで同社は、データの存在や意味を可視化できるデータカタログ製品、データの加工・変換機能を備えたプレパレーション製品の導入を検討することにした。
同社では、約10種類のETL(抽出・変形・書き出し)ツールとデータカタログ製品を比較検討。Informaticaのエンタープライズクラウドデータ管理ソリューションについては、既存のDWHにはないカタログ機能を有している点に加えて、BIツールの種類を問わずにデータマートの作成や事前処理を実施し、蓄積してきたデータ資産をDWH内部のデータと同じように扱える点を評価した。
具体的な活用方法として、統合DWHやBIツールにあるメタデータを「Informatica Enterprise Data Catalog(EDC)」に取り込み、社内のユーザーはEDCを閲覧してデータの種類や所在を把握する。また、各ユーザーは「Informatica Enterprise Data Preparation(EDP)」を活用してデータマートを作成。最新データを用いたプロジェクトを立ち上げたり、ある目的に沿ったデータ統合が必要になったりする局面では、「Informatica Data Engineering Integration(DEI)」を用いて各種業務システムから直接構造化データを取り込み、変換処理をかけて統合DWHに格納できる仕組みになる。
新たなデータ活用基盤は、データサイエンティストや商品企画部門で試験的な運用を始めている。今後は総務・人事部門や営業推進部門、損害サポート部門などでも活用していく予定。
ソリューションの導入以降、データを取り扱う社員の生産性が向上し、データ分析が高度化しているほか、自動車保険と火災保険など異なる領域の保険を組み合わせた分析が、従来以上に実行しやすくなっているという。また、これによって顧客の特約や補償の追加傾向など、新たな知見が得られるようになっている。
改正個人情報保護法が施行される2022年4月以降は、顧客から情報開示を求められた際の対応として、書面ではなく電子的な開示が主流になる見込み。こうした対応も円滑化できることが期待されている。