インフォマティカ・ジャパンは8月29日、同社がグローバルで提供する次世代「iPaaS(Integration Platform as a Service)」ソリューション「Informatica Intelligent Cloud Service:(IICS)」の日本語版の提供を開始すると発表した。
Informatica Intelligent Cloud Serviceの概要
同ソリューションでは、ビジネスユーザーやデータスチュワード向けに提供される、信頼性のあるデータ、コンテクスチュアルなデータ、完全かつ保護されたデータを活用するデータ管理プラットフォームの機能を日本語で活用できるようになる。なお、メタデータ駆動型の人工知能(AI)機能として「CLAIREエンジン」が組み込まれ、高度なインサイトを活用できる。同時にアップデートとして、既存のクラウドサービスとの高度な連携機能(Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform)も提供された。
インフォマティカ・ジャパン 代表取締役社長の吉田浩生氏
代表取締役社長の吉田浩生氏は、同日開催されたプライベートイベント「Informatica World Tour 2018」の歴史を振り返り、2010年に目黒で開催された際の参加者が120人だったと紹介し、2018年は事前登録者数が850人超と、約7倍の規模に拡大しているとした。この背景として「日本社会の環境変化」を挙げ、長らく「部門最適」「効率化」を追求してきた日本企業の考え方がこの3年ほどで変化し始め、「データ活用について考え始めた」(吉田氏)ことが同社への注目の高さにつながっていると述べた。
また同社が創業以来、「データをどのように効率的に取り扱うか。データインテグレーションで何をすれば顧客に価値を提供できるのか。と言う点に注力してきた」(吉田氏)とし、「これからもデータ・マネジメント、データ・ガバナンスに真摯に取り組み、価値を提供していきたい」と語った。さらに、同社は従来オンプレミス向けにソリューションを提供してきたが、現在はクラウドでのサービス提供、およびオンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドでも、シームレスに機能提供することを目標としているとして、今回のIICSの取り組みの意義を強調した。
米Informatica クラウド、ビッグデータおよびデータ統合担当シニア・バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャーのRonen Schwartz氏
米Informaticaでクラウド、ビッグデータおよびデータ統合担当シニア・バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるRonen Schwartz氏は、製品概要を紹介。IICSに搭載されたAI機能である「CLAIRE」について、「“将来を見通す”といった意味の言葉である“clairvoyance”の短縮形としてCLAIREと名付けたが、ちょうど真ん中に“AI”という文字が入っている点も気に入っている」と語った。CLAIREは、AIを活用してメタデータの管理を省力化/効率化することを目指しており、例えば、システムに新しいデータが追加された際にそのデータをチェックして既存のデータとの類似性を判断し、自動的に適切な分類を行う、といった処理を実行するものだという。
またユーザーとして、クックパッド コーポレートエンジニアリング部長の中野仁氏が登壇し、同社のソリューション導入の経緯について紹介した。同社では急速な事業成長の副作用ということなのか、システムごとにデータがバラバラに保有され、しかもそれぞれが微妙に食い違っているなど、「何が正しいデータなのかも分からない状態だった」という。
クックパッド コーポレートエンジニアリング部長の中野仁氏
例えば、基本となる「組織/従業員マスター」がシステムごとに2桁の数で存在し、どれが正しいかも分からないことから、「現時点で従業員が何人在籍しているのか、正確な数が把握できない」といった様子だったそうだ。中野氏は、この状況を「分散と分断」と表現し、ここから「統合と連携」を実現するために、Informatica Cloudをシステム連携基盤として採用した上で「バックオフィス:財務」(Workday)、「バックオフィス:人事」(Workday)、「フロントオフィス」(salesforce)、「チケット・ワークフロー」(ServiceNow)といったシステム全てを刷新する「5並列刷新プロジェクト」を実施、現在はフェーズ2の作業中だという。
以前のクックパッドのシステムの状況
データ連係実現後のクックパッドのシステム
同氏の話は、生々しいリアルな情報に満ちた示唆に富むもので、企業システムの運用や構築に携わる人であれば、ぜひとも耳を傾ける価値のあるものだと思われた。