NECは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)に納入した次世代型業務用無線システムや混雑状況可視化システム、顔認証システムなどの実績を公表した。
次世代の業務用無線システム利用のイメージ
大会初という次世代の業務用無線システムは、運営に関わる関係者間のコミュニケーション基盤として、国際的に標準化されたLTE技術と従来型業務用無線システムを組み合わせたもの。大会期間中の23の競技場における競技進行やイベント運営などで重要な指示・連絡手段として利用された。
3GPP(Third Generation Partnership Project)に準拠したLTE方式のネットワークシステムとNECの業務用無線システムを融合した技術を採用しており、プライベートな専用網による高い信頼性や耐久性、セキュアかつ安定した無線環境を実現したとする。
選手村内に設置された混雑状況可視化システム表示装置
混雑状況可視化システムは、大会初の選手村における新型コロナウイルス感染症対策として選手村の5施設を対象に配置された。対象施設に設置された混雑検知センサーにより収集したデータから混雑状況を解析し、3段階の混雑度表示により、施設利用者の密集回避を促した。選手を含む大会関係者向けスマートフォンアプリや、選手村内に設置される表示装置を通じて、各施設の混雑状況を可視化した。
顔認証システム利用の様子
大会初導入の顔認証システムは、選手やスタッフ、ボランティアなどの全大会関係者を対象に競技会場、選手村、大会関連施設である国際放送センターやメインプレスセンターなどの入場時に本人確認用に活用された。
ICチップを搭載したアクレディテーションカードと事前に撮影・登録した顔画像をシステム上でひも付けし、大会会場、施設における関係者エリアの入場ゲートに設置した顔認証装置を用いて、顔とアクレディテーションカードによる厳格な本人確認を行った。
また、顔認証装置はアクレディテーションカードを読み取り機に着券すると即座に顔認証を行うため、スムーズな認証が可能。これによりIDカードの貸し借りや盗難によるなりすまし入場、IDカード偽装による不正入場を防止することができる。
さらに同社は、シスコシステムズとともに大会運営を支えるネットワークを構築するため、ルーター、スイッチ、無線ネットワーク機器、ファイアウォールや認証装置などのセキュリティネットワーク機器、機器の障害管理を行うネットワークマネジメント機器など約1万6千台を納入している。大会期間中に大会関係者が利用した約2万台のPCに対して、PC導入時の初期設定を行うために利用するネットワーク環境をSDN(Software-Defined Networking)で構築している。
高度監視制御センター装置デモ画面
NECは、高度監視制御センター装置も納入している。この装置を活用し、安全な大会運営に向けて、競技会場の警備に影響を及ぼす恐れのある大会運営上の脅威の情報を的確に収集、分析し、セキュリティ事案の早期把握や未然防止を目的とするシステムも構築した。同システムでは、SNS情報、警報・事故などの緊急情報、気象・防災情報などの多様な情報を自動で収集し、脅威の影響度や関連情報の相関分析などの警備に貢献している。