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第1回:グローバルで浸透する新たなDXと企業のサステナビリティー戦略

大島佳菜 (クニエ)

2021-12-02 07:00

はじめに:DXとSDGsを両立するEthical-DXのススメ

 現在、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation: DX)や持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)などの新たな世界の潮流があり、日本においてもさまざまな企業がDXやSDGsに取り組んでいる。しかし、必ずしも成果が出ているとは言えず、グローバルで見るとかなり後れを取ってしまっている。

 この状況に対し、筆者は、DXとSDGsを別個に検討するのではなく、2つを掛け合わせることによって既存のアプローチよりも、企業などの抱える課題解決に効果的なアプローチができると考えている。

 本連載では4回にわたり、企業が取り組む課題と社会が取り組む課題の双方の視点から、どのように日本企業がデジタルをてこにして新たなビジネスや価値を創造できるのか考察し、ポーズだけにとどまらない効果検証と次のアクションにつながる方法論など、統合的にこの2つの領域に取り組む新たなアプローチ(Ethical-DX)やインサイトを示していく。

連載スケジュール予定

  • 第1回:グローバルで浸透する新たなDXと企業のサステナビリティー戦略
  • 第2回:DXとSDGsに取り組む企業が抱える課題
  • 第3回:ビジネス課題と社会課題の同時解決につながる新たなDXアプローチ
  • 第4回:Ethical-DXの具体的なアプローチとビジネスインパクト

進化し続ける“デジタルトランスフォーメーション”

 DXという言葉は2004年にスウェーデン ウメオ大学のErik Stolterman教授が提唱したといわれている。Stolterman教授は自身の研究論文「INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE」の中で、DXについて「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義した。この定義が発展し、ビジネスの世界においてDXはデジタル技術を用いた新規事業の創造や業務刷新、経営改革などと捉えている企業も多いだろう。

 しかし、最近のDXの潮流を見てみると、当初のStolterman教授の定義に回帰する動きや、さらにそこから進化する流れがあるようだ。今、DXは単なるデジタル技術の活用やユーザーエクスペリエンス(UX)の向上にとどまらず、より包括的な社会価値を重視したDXにシフトし始めている。

グローバルで浸透する新たなDX

 世界の最新動向を把握できる「世界経済フォーラム」(通称:ダボス会議)では、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック後の共通目標「The Great Reset」(グレートリセット)を発表した。グレートリセットは、新型コロナウイルス感染症で露呈した地球や社会のさまざまな課題を修復し、復興(=リセット)することを目的としている。

 ダボス会議では2016年に初めて第4次産業革命が取り上げられたが、2021年のグレートリセットでは今後は単なるデジタル技術の活用ではなく、人や社会の未来創造のためのデジタル革命が始まろうとしているとされている。

 世界経済フォーラムが発行する「The Global Risks Report 2021」によれば、特に企業のビジネスにおいてもハイリスクとされる環境問題は、DXの取り組みの中で対応が求められている。このメッセージは概念的な話にとどまらず、3つの戦略的基盤と7つの側面でDXにサステナビリティーの視点を統合する実用書(「Bridging Digital and Environmental Goals:A Framework for Business Action」)が出版されるなど、新たなDXがグローバルで浸透してきている。

 このような新しい動きの中で、Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、DXのあらゆる取り組みにおいてサステナビリティー戦略を取り入れている企業の1つである。HPEはもともとITインフラ製品のモノ売りをしていたが、顧客体験の向上に向けてプラットフォームビジネスにシフトした。ここまではいわゆるこれまでのDXと変わりがないが、注目したいのはデジタルに切り替えた強みを生かして、環境社会課題にも戦略的に取り組んでいることだ。

 具体的にはバリューチェーンの各フェーズで二酸化炭素(CO2)排出量を可視化し、そこから得られる情報を基に抜本的な事業改革に取り組んだ。その結果、サステナビリティー関連事業から2020年に8億4700万ドルの純収益、47%のCO2削減(2016~2020年)と高いインパクトを出している。また、Dow Jones Sustainability Index(DJSI)において、2019年にカテゴリー部門1位を獲得するなど、企業価値の向上にも成功している。

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