テクノロジー業界では、ここ2年間でかつてないほどの最高経営責任者(CEO)の退任が続いており、直近では大手インターネット企業TwitterのCEOであるJack Dorsey氏が退任を発表している。
企業幹部のリクルートを手がけるChallenger, Gray & Christmasが2021年11月に公開したレポートによると、米テクノロジー企業のCEOの退任は同年10月に増加し、1カ月で合計21人が退任したという。また、2021年はこれまでで144人が退任しているという。なお、テクノロジー企業のCEOが最も多く退任した月は2020年1月であり、その人数は35人だったとされている。
この傾向は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの少し前に最も顕著になった後、パンデミックに伴うロックダウンの間、そして混乱の中での職場復帰やワクチン義務化という状況において高いまま推移している。
Challenger, Gray & Christmasによると、退任に至った最大の理由としてしばしば元CEOらが挙げたのは「引退」であった一方、他社でのより良い機会という回答もあったという。
Challenger, Gray & ChristmasのシニアバイスプレジデントであるAndrew Challenger氏は、同社が8月に公開したレポートの中で、さまざまな要因が他にあるとし、「リーダーらは現在、人材の管理や維持、採用、COVID-19後の職場の再編成という点で、解決しなければならない自社固有の問題を数多く抱えている」と述べている。
AmazonやGoogle、Twitter、Facebookのような大手テクノロジー企業の創業者やCEOらは、平均的なCxOとは比べものにならないくらい大きなプレッシャーに直面している。彼らの多くは米国議会に召喚され、反政府組織による米国選挙への介入を許した責任から、ヘイトスピーチやフェイクニュースの氾濫を抑止できなかった自らの能力不足に至るまでのさまざまな件について証言させられている。
これら大手企業のCEOらは、テクノロジー分野の第一人者として何年にもわたって名声を欲しいままにしてきた。そういった人たちが、政治的な場や公の場で激しく糾弾されるというのは間違いなく不快なことだろう。
GoogleをSergey Brin氏とともに創業し、同社のCEOを務めていたLarry Page氏は、2019年12月にひっそりとその座を退いた。また、Amazonの創業者でありCEOでもあったJeff Bezos氏も2021年の半ばにその座を降りた。そして今、TwitterのDorsey氏も去ろうとしており、大手インターネット企業の創業者であり、CEOの座を維持しているのはMark Zuckerberg氏のみという状況だ。
テクノロジー業界には数年前から逆風が吹くようになっており、多くのCEOらは戦いようがないという結論を下している。
問題は、これら大手インターネット企業における本質的な性質に横たわっている。こういった企業は自らの広告ネットワークの力の源にするために、ユーザーから大量のデータを収集している。しかしこれは持続性に欠けるビジネスモデルだ。というのも、こうした慣行が社会に悪影響をもたらしていることを、世界中の政治家たちもいつかは認識するためだ。どういうことかって?つまり、例えば靴の販売広告のような、単なる商業的なメッセージを伝えるだけではなく、特定の相手に政治的なメッセージをひそかに伝えられるため、政治家らは厳格な統制を敷こうとするのだ。