調査

ツールの「使いにくさ」「散在」がデータ分析の障壁に--アルテリックス調査

藤本和彦 (編集部)

2022-01-11 07:00

 データ分析に必要な処理を自動化する「Analytic Process Automation」(APA)プラットフォームを提供する米Alteryxは、IDCと共同で調査を実施。その結果を調査レポート「アジア太平洋地域におけるアナリティクスの自動化に向けて」として発表した。

 これによると、日本企業は事業の最優先事項として「収益の確保」「ビジネスモデルの革新」「人員のスキルアップ」を挙げる一方で、ビジネスモデルの革新と人員のスキルアップに関しては、事業の優先度と業績に大きな隔たりがあるという。

 現在、90%を超える企業幹部が自社の業績維持にとってデータ分析は重要であると考えている一方で、高い分析力成熟度に到達している企業は25%にとどまる。

 AlteryxとIDCは、全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)と連動するデータアナリティクス戦略のある企業を「分析エキスパート企業」と定義しており、IDCのアナリティクス成熟度フレームワークでは「戦略」「データ」「人員」「プロセス」という4つの主要な指標で評価したスコアから「ビギナー」「中堅」「エキスパート」に振り分けている。

 分析エキスパートの認定を受けたアジア太平洋地域の企業は、全ての事業優先事項にわたって他の企業より優れた業績を示す傾向が見られ、特に費用削減、ビジネスモデルの革新、新商品開発、市場拡大などの分野において顕著だったという。日本は分析エキスパート企業が調査対象国の中で2番目に多かった。

 調査によると、アジア太平洋地域の全域において、各社の幹部は日々の業務において「ツー
ルが使いづらい」(55%)、「ツールが散在しており管理しきれていない」(49%)、「データに素早くアクセスできない」(44%)、「データ系列とデータの健全性への対応」(44%)、「データリテラシーの不足」(43%)などに課題を抱えているという。

 また、データ主導の大規模な変革と長期的な事業価値を得るためには「人員の不足」(88%)と「プロセス能力の不足」(95%)が大多数の企業で発生しているとする。

 アルテリックス・ジャパン 統括代表の吉村良氏は「(日本企業は)戦略やデータの観点から分析力の成熟度がうかがえるものの、人員とプロセス関連の分析能力は足並みがそろっていない状況だ。アナリティクス/データ関連の製品が複雑になることで課題はさらに深刻化している」と指摘。その上で、同氏は「アナリティクスとデータ駆動型プロセスの自動化が、ビジネスに付加価値をもたらす」との見解を示した。

 調査は2021年5~6月、日本、オーストラリア、香港、インド、シンガポールの地域で、金融サービス業、製造業、建設業、資源、政府/教育機関の各業種から企業500社(日本企業は100社)を対象に実施。

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