Googleは2021年、自然でスムーズな会話を実現するための実験的な自然言語プラットフォーム「LaMDA」を発表した。同社は米国時間5月11日、「Google I/O」で「LaMDA 2」を披露した。最高経営責任者(CEO)Sundar Pichai氏は基調講演で、LaMDA 2について、同社が「これまでに開発した中で最も高度な人工知能(AI)対話テクノロジー」だとした。
同社は「Google検索」や「Googleアシスタント」といったツールの品質を向上させるため、LaMDAをはじめとする各種のモデルに取り組んでいる。今回Pichai氏は、「われわれは、人々にこのテクノロジーを体験してもらい、フィードバックを寄せてもらう必要がある」と述べた。
Googleが「AI Test Kitchen」を立ち上げ、社外の人に開発中のAIのテクノロジーと機能を探求してもらおうとしている理由がここにある。AI Test Kitchenは、Googleの最新AIテクノロジーの一部を体験し、フィードバックできるアプリだ。Pichai氏は、「(このアプリの)目的は、手元にLaMDAがあるというのは、どのようなものになるのかを感じてもらうことだ」と述べた。Googleは今後数カ月をかけ、AI Test Kitchenを一部の人々に向けて徐々に公開していく計画だ。
Pichai氏によると、LaMDAの初期イテレーションを従業員数千人に公開した結果、不正確な応答が減少したという。同社は、AIモデルがユーザーにショックを与えたり、有害となる恐れのあるコンテンツを提示しないよう、制限するための取り組みを進めてきた。それでも、AIモデルは依然として不正確、あるいは不適切、不快な応答をする可能性がある。
Googleは幅広いユーザーからフィードバックを得てこの問題に取り組んでいくため、AI Test Kitchenアプリで、まずLaMDAを活用した3つのエクスペリエンスを提供する。これらの「エクスペリエンス」は製品のプレビュー版ではなく、開発中のテクノロジーを単にデモするものだ。Pichai氏はGoogle I/Oの基調講演で、「Imagine It」をはじめとするいくつかのエクスペリエンスを披露した。
提供:Google
「Imagine It」というエクスペリエンスは、ユーザーがこのモデルに与えたクリエイティブなアイデアを元にして、想像性に富んだ適切な解説を生成できるかどうかをテストする。Pichai氏はデモで、深海を探査するというのはどのような感じだろうかとLaMDAに問いかけた。LaMDAはその回答として、マリアナ海溝の光景について説明を表示すると同時に、関連する質問もその場で生成した。
Pichai氏は、このモデルが特定の話題に向けてプログラムされたものではない点を指摘した。これは訓練データから概念を合成するようになっており、ユーザーはほとんどどのような話題に関する質問でも投げかけることができる。
また、LaMDAが会話を続ける中でどのくらい話題についていけるかをテストするデモと、複雑な目標をサブタスクに分割するLaMDAの能力をテストするデモも用意されている。
Pichai氏は、「これらのエクスペリエンスは、われわれが世界について計画したり、学んだりする際に、いずれ言語モデルが有用になるという可能性を示している」と述べた。
Googleは今後、他のAI分野をAI Test Kitchenに取り込んでいく計画だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。