Linus Torvalds氏は、Linux 6.0のリリースを発表した。同氏は、今回は「重要な新要素」は含まれておらず、それらが登場するのはバージョン6.1になると予告した。
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Torvalds氏は、8月にLinux 6.0の最初のリリース候補版(rc1)が公開されて以降に、今回のメジャーバージョン番号の変更にはあまり意味はなく、6.0は5.20だと言っても構わないと述べている。同氏は、6.0は「かなり大規模なリリース」だと述べている一方で、9月に開催されたカンファレンスでは、「6.0は退屈なものにしたかった」とも発言している。
米国時間10月2日に公開されたリリースノートで、同氏は「皆さんに分かってもらえるといいのだが、メジャーバージョンを変更したのは、単に数字が大きくなりすぎたためで、基本的な部分に大きな変更があったわけではない」と述べている。
Phoronixが6.0のマージウィンドウ中に指摘したように、Linux 6.0では、Intelの「Ice Lake」の「Xeon」プロセッサー、AMDの「Ryzen Threadripper」、「AMD EPYC」の性能が改善された。
また、Intelの「Sapphire Rapids」、「Raptor Lake」、「Meteor Lake」のプロセッサー、Qualcommの「Snapdragon 8cx Gen 3」などの新しいハードウェアがサポートされた。「RISC-V」のサポートも多方面で進んだほか、「OpenRISC」や中国の独自アーキテクチャーである「LoongArch」のハードウェアアップデートも含まれている。
Torvalds氏は、「もちろん、6.0にはさまざまな変更が加えられている。マージ以外のコミットは全部で1万5000件以上に及んでおり、少なくともコミット数で見れば、6.0はここしばらくの間でもっとも大規模なリリースのひとつだ」と述べている。
Linux 6.1に関する大きな話題であり、Torvalds氏が言及する「重要な新要素」の1つになりそうなのが、Linuxカーネルの開発向けにプログラミング言語「Rust」が加わることだ。今後は、C言語以外にRustでもドライバーなどのコンポーネントを構築できるようになる。
「当然、明日には6.1のマージウィンドウを開始する。6.1には、6.0とは違って、かなり重要な新要素が含まれている。だが今のところは、この最新版のカーネルを試してみて欲しい」(Torvalds氏)
Torvalds氏はRustについて、Linuxの現行言語であるC言語よりもメモリ安全性の確保に優れているだけでなく、新しい開発者を引き付ける手段にもなると考えている。
同氏は最近、「Rustは新しい人々を呼び寄せてくれる要素の1つになるかもしれない」「私たちは年を取ってきており、白髪が増えつつある」などと発言していた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。