最近、LinuxカーネルのWi-Fiコンポーネントに5件の深刻なセキュリティホールが発見された。
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これは悪いニュースだ。だが幸い、それらのセキュリティホールはすべて修正済みだという良いニュースもある。
最初の脆弱性は、ドイツのダルムシュタット工科大学に所属するセキュリティ研究者Soenke Huster氏によって発見された。
Huster氏は、欧州の大手LinuxディストリビューターであるSUSEに、Linuxカーネルの「mac80211」のWi-Fiフレームワークに厄介なバッファ上書きのバグが存在しており、WLANのフレームを悪用してリモートから脆弱性をトリガーすることが可能だと報告した。
SUSEはこの問題を、Linuxカーネルのセキュリティ担当チームの手に委ねた。Huster氏のほか、Intelのプリンシパルエンジニアでmac80211のメインアーキテクトのJohannes Berg氏がこの問題の解決に当たったところ、Wi-Fiネットワーク接続を介して攻撃者に悪用される可能性のあるセキュリティホールがほかにも発見された。
これらの脆弱性の多くは、2019年第1四半期にLinuxに導入されたものだ。従って、これらの脆弱性は、Linux 5.1と5.2のカーネルに存在していることになる。
最初に発見されたバグである「CVE-2022-41674」と名付けられたバッファオーバーフローの脆弱性は、もし悪用されれば厄介な問題を引き起こす。Red Hatは、この脆弱性について、「攻撃者がシステムをクラッシュさせたり、内部のカーネル情報を漏洩させたりできる」と説明している。同社はこの問題をCVSSのスコアで7.3と評価しており、影響を「中程度」(Moderate)だと見なしている。
しかし筆者の考えでは、すべての脆弱性を合わせると、この評価よりもかなり悪いことが起きる。筆者の知る限りでは、本当に厄介なのは、これらのセキュリティホールが「ビーコンフレーム」によってトリガー可能であることだ。Wi-Fiのアクセスポイント(AP)は、接続できるネットワークを探しているデバイスがいつでも受信できるように、常時ビーコンフレームを発信している。
つまり、悪意のあるAPは、エリア内でネットワークをスキャンしているすべてのLinuxデバイスを自動的に攻撃できるということだ。ファイアウォールでも、VPNでもこの攻撃を止めることはできず、攻撃者はユーザーに対してフィッシング攻撃を仕掛ける必要もない。ノートPCに電源を入れたら、その途端にマシンがクラッシュするということもあり得るのだ。
良いニュースは、すでにセキュリティパッチが存在することだ。パッチは米国時間10月13日に安定版カーネルに適用されている。最新の安全なLinuxカーネルは、リリースされたばかりの5.10.148だ。Linus Torvalds氏は、これからリリースされる予定のLinuxカーネル6.1にもこのパッチを適用した。すべての主要なLinuxディストリビューションにも間もなくパッチが適用されるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。