Googleは世界最大規模のテクノロジー/ソフトウェア企業であり、15万人を超える従業員と数十億規模のユーザーを抱えている。このため同社は、サイバー攻撃に狙われやすい組織となっている。
職場で働くGoogleの従業員
提供:Google
同社は標的であることを認識しているため、自社への侵入を試みる役目を担うセキュリティ専門家チームを抱えている。同チームの目的は、悪意あるハッカーによってもたらされる可能性がある最新のサイバー脅威からGoogleとそのユーザーを保護するための力を得るというものだ。
同社のレッドチームのテックリード兼マネージャーであるStefan Friedli氏は「同チームのミッションは詰まるところ、われわれのユーザーやGoogle自身、われわれのインフラにとってGoogleをより安全に、そしてよりセキュアにすることだ。そのためにわれわれは、Googleが実際にさらされている脅威や攻撃をシミュレートしている」と述べた。
「レッドチーム」という言葉は軍事用語に由来しており、防衛側がどのような反応を示すかをテストするというシナリオにおいて、敵側の役割を担う専門のチームのことを指す。この言葉は情報セキュリティ分野でも用いられるようになり、現在ではサイバーセキュリティの保護を担当する「ブルーチーム」の防御力をテストするために、攻撃的なハッキング手法の使用を許されたチームを表す言葉になっている。
Friedli氏は「われわれがやろうとしていること、そしてそもそもの理由は、われわれがどれほど迅速に物事を食い止められるかを評価するために、検知/対処チームにスパーリングパートナーを与えるというものだ」と述べた。
そのためにレッドチームは、本物のハッキンググループが用いている戦術や手法を使い、彼らの行動をできる限り正確に再現しようと試みる。しかしこれには、創造性を発揮する必要もある。レッドチームに関するGoogle自身のミニドキュメンタリーによると、同チームは自社ネットワークに侵入するために、一定の勤続年数に達した複数の従業員に対してお祝いと称し、USB接続のプラズマボールを贈ったという。そのプラズマボールは職場のPCに接続されると、PCを感染端末に変え、同チームが「Google Glass」開発チームのセキュリティをテストするというミッションを続行するための入り口として機能するようになっていた。
攻撃側のマインドセットを理解する上で、レッドチームは攻撃者の有している知識のみを用いて行動する必要がある。ネットワークへの侵入を試みる現実のハッカーが事前に知り得ないような、Googleのシステム運用に関する知識を活用するというのでは意味がないためだ。