東芝デジタルソリューションズは、東芝アナリティクスAI(人工知能)の「SATLYS」の新商品として、映像解析の学習済みAIモデル「SATLYS 映像解析AI」の提供を開始した。
ユーザーは、同社が検証したAIモデルを使用することにより、新たなAIモデルの開発が不要になり、AIによる映像解析機能をアプリケーションへタイムリーに組み込める。また、AIモデルがカメラ機器に依存しないため、既設のカメラ機器の映像を活用できる。
新製品は、人物や物体の検出および追跡、骨格推定などの学習済み映像解析AIモデルをクラウドサービス(クラウドAPI)で提供するほか、オンプレミス用SDK(ソフトウェア開発キット)でも提供する。
映像解析AIの各AIモデルによる認識イメージ
同製品を活用した人物/物体検出・追跡では、映像内の人物や物体を検出し、対象物(人、自転車、車など)ごとに追跡でき、学習により新規物体を検出・追跡させることも可能だ。骨格推定では、推論を基に骨格を認識し、姿勢(体の向き)や視線(顔の向き)を推定する。
顔認識では、顔領域の検出、顔認証、顔向きを推論し、個人を世界トップレベル(米国国立標準技術研究所の顔認識ベンチマークテスト)の精度で認識するという。本人認証システムでの利用では、一人1枚の顔写真を登録するだけで、さまざまな顔の向き、暗いシーン、経年による顔の変化などにも対応し、個人を高速・高精度に認識できる。カメラ機器間の追跡では、別々の場所で撮影された複数の映像から人物の服装や持ち物の特徴から同一人物を認識できるとする。
また多数の人物(群衆)が写っている映像で人数をカウントする用途に適しており、群衆密度推定では映像内の人数を高速に算出する。さらに、行動認識では、学習済みの定義された行動(「人が立っている」「人が歩いている」)とは異なる行動(「転倒している」「しゃがんでいる」など)を検知する。
「人物/物体検出・追跡」と「骨格推定」を組み合わせた不審行動の検知イメージ
なお、各AIモデルを単体または組み合わせたアプリケーションによるユースケースとして同社は、不審または不自然な行動をする人物の検知や大規模な施設内で迷子になっている子供の探索などを挙げている。駅構内で倒れている人の検知や、展示会や野外イベントなどの密集度から混雑状況を推定することにも役立つとしている。