松岡功の一言もの申す

運用はどこが面白いのか、IBMの冠がなくなった影響は--キンドリルジャパン社長に聞いてみた

松岡功

2023-02-09 10:53

 IBMからITインフラの運用を中心としたマネージドサービスを引き継ぐ形で分社して1年余りが経過したKyndryl(キンドリル)。その日本法人であるキンドリルジャパン 代表取締役社長の上坂貴志氏に取材する機会を得たので、「運用はどこが面白いのか」「システムインテグレーター(SIer)と競合しないか」「IBMの冠がなくなって社員のモチベーションへの影響はどうか」と率直に聞いてみた。

運用が最先端のクリエイティブな仕事に

写真1:筆者の取材に答えるキンドリルジャパン 代表取締役社長の上坂貴志氏
写真1:筆者の取材に答えるキンドリルジャパン 代表取締役社長の上坂貴志氏

 「IBMからのお客さまはしっかりと引き継いでいる。さらに、サービスをオープンに提供できるようになったので、パートナーエコシステムが広がるとともに、これまで接する機会がなかった分野のお客さまともお話しできるようになってきている」(写真1)

 2021年9月に事業を開始して以来、これまでのキンドリルジャパンの活動について手応えを聞いたところ、上坂氏はこう答えた。まずは新会社として順調に船出したようだ。

 経営トップへのインタビュー取材というと、市況の見方から事業戦略、差別化ポイント、今後の展開といった点がオーソドックスな質問だが、キンドリルジャパンでは2022年11月30日に事業戦略、2023年1月11日にサービス展開についての記者説明会を開いているので、それらの内容についてはそれぞれの記事を参照していただくとして、本稿では筆者がキンドリルだからこそ聞きたいと思ったことを3つ、上坂氏へ率直に投げかけて答えてもらった。

 1つ目は、運用はどこが面白いのか。運用はシステムを安定稼働させ続ける重要な仕事だが、一方でシステムの「お守り」役といった地味なイメージがある。それは会社のイメージにも直結するので、世の中での認知度や人材の獲得にも大きく影響する。従って、キンドリルとしても今後は運用の面白さを訴えていく必要があるのではないか。そう思って聞いてみると、上坂氏は次のように答えた。

 「地味というか、地道な仕事であることは間違いない。私たちの仕事は『社会成長の生命線』だと会社のパーパスにも掲げているが、その確固たる責任とお客さまからの信頼が礎になっている。まずはこの点を強調しておきたい」

 「その上で申し上げたいのは、運用の世界はこれからどんどん面白くなっていくということだ。なぜか。ITインフラはかつてのようにオンプレミスだけでなく多様なクラウド形態が使われるようになり、さらにはメタバースに代表される仮想空間の世界もこれから広がっていこうとしている中で、これらをどのように運用していけばよいのか。その点が大いに注目され、運用が最先端のクリエイティブな仕事としてスポットライトを浴びる時代がいよいよやってくると考えているからだ」

 さらに、テクノロジーの観点からこう付け加えた。

 「そうした中で、運用はこれからさらに効率化を図り、自動化を目指すとともに、多様な利用環境を柔軟に連携させていくためのテクノロジーがどんどん進化していくだろう。その中では、仮想空間そのものを活用するアイデアも生まれてくるはずだ。既に、メタバースを運用にどのように活用できるかという研究も始めている。すなわち、運用の在り方が変わっていくと。キンドリルはそうした今後の動きに向けて、幅広い利用環境を対象としたオープンなビジネスを進めていけるポジションに立っている」

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  2. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  3. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]