鹿児島大学、ローカル5Gを活用し農作業現場のDX推進に貢献

寺島菜央 (編集部)

2023-03-22 16:51

 鹿児島大学は、ローカル5Gを活用したリアルタイム映像配信システムの実証に向けて「ローカル5G可搬型トライアルパック」を導入した。同サービスを提供し、実証環境を構築したNECが3月22日に発表した。

 ローカル5G可搬型トライアルパックは、ローカル5G基地局や5Gコア、アンテナ、5G端末など、ローカル5Gの利用に必要なシステムを一式で提供するパック製品。機器は持ち運び可能なため、設置や撤去の工事は不要だという。また、機器の設定や電波の使用免許取得はNECがあらかじめ行うため、迅速に導入できる。

 鹿児島大学では、農業従事者の減少や農林産業の労働力不足といった地域の課題解決や、国際社会で活躍する人材の育成と教育環境の充実化を目指している。この活動の一環として、映像を活用した農作業現場のDX推進と高度な授業の実現に向けた実証を実施。2~3月には、「スマート農業のための画像認識に基づく自律移動ロボットの遠隔制御」の実証を行った。

 この実証では、農場などの生産現場で動作する自律移動ロボットに搭載したAIで画像処理を行い、ロボットの行動を決定して農業生産物を認識する。このような最新のAI技術を用いる場合、ロボットに搭載されたマイクロコンピューターと外部の計算機サーバーの連携が必須だった。

 そこで、ローカル5G可搬型トライアルパックを採用し、ローカル5Gを用いてロボットに搭載されたマイクロコンピューターと外部の計算機サーバーを接続。また、映像配信にもローカル5Gを活用し、低遅延で大容量な通信により高精細映像のリアルタイム伝送を行っている。

 ローカル5G可搬型トライアルパックの導入に当たり同大学は、ローカル5Gを手軽に検証できるパック製品で、安価かつ迅速で容易に利用できる点を評価したという。

ローカル5G可搬型トライアルパック機器と鹿児島大学ロボットイメージ
ローカル5G可搬型トライアルパック機器と鹿児島大学ロボットイメージ

 ローカル5Gを活用した今後の展望として、同大学では将来的にロボットやAIなどの先端的な技術を活用し、農業の効率化や品質向上に向けた研究開発を進めていくという。またNECは、ローカル5Gの普及を通して、産業の競争力強化や顧客・社会課題の解決に貢献していくとしている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]