VAIOは3月29日、個人向けに16インチの「VAIO F16」と14インチの「VAIOR F14」、法人向けに16インチの「VAIO Pro BM」、14インチの「VAIO Pro BK」を発表した。6月から販売を開始する。
VAIO 代表取締役社長 山野正樹氏
同社 代表取締役社長 山野正樹氏は「Windows PCに定番とする製品がないのが実情だ。本当に必要な性能や機能が詰め込まれ、愛着を持って長く使える」製品を目指したと“定番”をキーワードに用いた理由を説明した。
バッテリーを共同開発
VAIO Pro BMとVAIO Pro BKは法人向け製品の中ではスタンダードモデルに位置する。同社 開発本部 プロダクトセンター長 黒崎大輔氏によれば「従来の法人向けPC市場は必要な性能をクリアすれば、後は価格重視。見た目などはまったく気にしない」顧客企業が多かったという。
VAIO 開発本部 プロダクトセンター長 黒崎大輔氏
そこでVAIOは“定番”を実現するため、PCの“当たり前”を見直すことに着目した。
例えば、リモートワークの日常化に伴うディスプレイサイズの見直し。VAIO Pro BMは15.6インチのA4ノートPCと同等のサイズで16インチディスプレイを採用し、約11.4%の表示領域拡大を実現したという。
内蔵カメラも5度傾けて取り付けることで、オンライン会議参加者で見られがちなカメラアングルのズレを改善。内蔵マイク使用時はAI(人工知能)ノイズキャンセリング機能で周辺の雑音をカットし、話者向けのマイク集音機能も高めている。同社によれば範囲外の雑音は約1000分の1の音量まで削減できるという。
ノイズキャンセリング機能のデモンストレーション
VAIO Pro BMでは、定番のA4サイズノートPCでも持ち運びを考慮し、約1.65kg(VAIO Pro BKは約1.34kg)まで本体重量を削減している。注目すべきはTDKグループ企業のATLと共同開発したバッテリーだ。
バッテリーは充電を繰り返すことで経年劣化してしまうが、同社は容量劣化対策に成功。正確な数値は示していないが、通常は3~4年で容量が半分程度まで減少してしまうが、今回のバッテリーは4年以上も高い水準を維持している。
長期間PCを使用すると薄くなりがちなキートップ文字も、レーザーで刻印するとともに表面をUV硬化塗装することで長期利用に耐えうるとしている。
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現在、VAIOのPC販売は多分に漏れず苦戦を強いられている。2022年5月は売上高こそ前年同期比プラス3%の224億円に達したものの、営業損益は2億円の赤字。だが、2023年は前年比約1.6倍の売り上げを見込んでいる。
山野氏は「円安によるコストアップを克服して黒字に転じた。その理由は営業体制の強化。販売パートナー企業との協力関係を強化し、これまで選定候補としていない企業からも、数千台から1万台の受注をいただいた。もう一つは製品の本質的な価値追求」と説明し、今回の“定番”VAIOに至った背景を説明した。
新製品投入で約1.5倍の販売台数、2024年はグローバル展開を目指す。
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