人工知能(AI)の規制に関する91ページの白書「A pro-innovation approach to AI regulation」(イノベーションの推進を重視したAIの規制に向けたアプローチ)が英科学・イノベーション・技術担当閣僚大臣によって、現地時間3月29日に英国議会に提出された。この白書は、AIの持つ不確実性と予測不能性によって、このテクノロジーを明確に定義することができないという考え方に基づいている。
提供:Getty Images/Weiquan Lin
この白書には以下のように記されている。
AIを効果的に規制する、そしてわれわれの提案するフレームワークを明確なものにする上でまず、『AI』という言葉に対する認識を共有する必要がある。しかしAIには、幅広く受け入れられている一般的な定義が存在しない。このためわれわれは、状況に即した規制を設ける必要性を生み出している2つの特性に目を向けることでAIを定義した。
この定義は、AIというテクノロジーのうちの1つの分野、つまり現在までで最も成功している分野である機械学習(ML)、すなわちニューラルネットワークに焦点を当てている。そして具体的には、MLにおける2つの特性、すなわちプログラムがなぜそのように動作するのかが明確ではない点と、プログラムが予測できない結果を生み出し得る点に目をつけている。
英科学・イノベーション・技術担当閣僚大臣のMichelle Donelan氏は、AIテクノロジーに対する国民の信頼を醸成しつつ、業界フレンドリーな規制を設けるためのフレームワークを提案した。
提供:英科学・イノベーション・技術担当閣僚大臣
この白書には以下のように記されている。
AIには「適応性」がある故に、システムの結果の意図やロジックを説明することが難しい場合もある。
- AIシステムは一度、あるいは継続的に「訓練」されることで、データ内に潜んでいる、人間にはしばしば容易に認識できないパターンや関係を推論して機能する。
- AIシステムはそうした訓練を通じて、人間のプログラマーでは直接思い描くことのできない新たな推論能力をしばしば開発する。
AIには「自律性」がある故に、結果に対する責任の追求が難しい場合もある。
- 一部のAIシステムは、人間の明確な意図や継続的な制御がなくとも意思決定を下すことができる。