IBM傘下のRed HatがLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)のソースコードの一般公開を停止する動きについて、筆者はOracleがこの争いに加わるのを待っていた。それが時間の問題にすぎないことは分かっていた。
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OracleのチーフコーポレートアーキテクトEdward Screven氏と「Oracle Linux」の開発責任者Wim Coekaerts氏は米国時間7月10日のブログ記事で、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)に向けてこう訴えた。「IBMの行動はISVの利益にならない。IBMはRHELの代替としての『CentOS』を抹殺し、『AlmaLinux』と『Rocky Linux』を攻撃することで、ISVの顧客が出費を抑えつつISVの取り分を増やせるようにする手段の1つを排除している」
実際、Oracleは今や、オープンソースLinuxの擁護者を自認している。「Oracleは常に、Oracle Linuxのバイナリーとソースを誰もが自由に利用できるようにしてきた。当社は、Oracle Linuxを再配布するサブスクライバーの権利を妨げるようなサブスクリプション契約は結んでいない。一方、IBMのサブスクリプション契約では、サブスクリプションサービスを利用してGPLv2(GNU General Public License version 2.0)の権利を行使すると違反になると規定している」
Red Hatは6月21日、RHELソースコードの一般公開を事実上終了すると発表した。これを受けて、同社とLinux開発企業の争いが激化している。
とはいえ、今回の騒動は、数十年前から続く対立の最新の動きにすぎないとの見方もできる。OracleとIBMは1977年以来、ライバルであり続けている。この年、Larry Ellison氏はOracleを設立し、リレーショナルデータベースの概念とSQLを事業化した。SQLの前身となる技術はIBMが1970年に他社に先駆けて開発したものだが、Ellison氏はそうした技術を事業の中心に据えていった。
Red Hatは6月26日、ソースコードの一般公開をやめた理由について説明した。同社は「Red Hatでは数千の人々が時間を費やしてコードを記述することで、新機能を実現し、バグを修正し、異なるパッケージを統合してそれらを長期にわたりサポートしている」と述べ、「われわれはこれらの人々の働きに対して支払わなければならない」とした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。