Microsoftの「Surface」部門の業績は、Gerstlauer Amusement Ridesのローラーコースターである「Euro-Fighter 1000」を思い起こさせるアップダウンの激しいものとなっている。本記事では、10年にわたるSurfaceの軌跡を振り返ることにする。
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Surfaceは2012年に不吉なスタートを切ったとはいえ、同部門はその後、着実な成長路線を歩み始めた。2018年に筆者は、同部門が全体で50億ドル近くの売上高をもたらしたとして、その発展を振り返る記事も執筆した。以下はその抜粋だ。
5年前に、このような売上高を実現できると本気で信じる人はいなかっただろう。Microsoftは2013会計年度に、販売が予想ほど伸びなかった「Surface RT」の在庫調整費用として9億ドルを計上しなければならなかった。
たいていの企業であれば、音を上げて事業から手を引いていただろう。しかし、Microsoftのアプローチを「長期的で、粘り強く、パートナー中心主義」だと表現したことで有名なSteve Ballmer氏が指揮を執っていたMicrosoftはそうしなかった。
同氏は、パートナーが数多くつめかけたカンファレンス会場の場で、「私たちは後戻りしない。ただひたすらに前に進み、進み、進み続ける。粘り強く、粘り強く、粘り強く」と述べていた(The New York TimesのAshlee Vance記者はこれらの発言を引用した際に「同氏は同じ言葉を3回繰り返すのが好き」だと記している)。
実際のところ、世界のPC出荷台数はそれまでの4年間、横ばい、ないし漸減という状況にあったが、Surface部門は年平均成長率にして22%を上回る成長を見せてきている。
そしてSurface部門は2022会計年度末に、過去最高となる70億ドル近くという売上高を記録した。しかしその後はというと、、、下記のグラフを見てもらいたい。
2024会計年度のSurfaceの売上高は、前年比24%減になると想定したものだ。
提供:Chart by Ed Bott/ZDNET
2023会計年度には売上高が急激に減少した(上記グラフの2024会計年度の値は予想値となっている)。
Microsoftの会計上のこうした数値を読み解いていくのは少しばかり厄介だ。同社は2022会計年度にSurfaceの実際の売上高を公開しなくなり、前年度からの売上高変動率を百分率で発表するようになった。また同社は2023会計年度に「Surfaceの売上高」という項目を「デバイスの売上高の伸び」へと変更し、キーボードやマウスといった周辺機器の売上高と合計するようになったため、年度間の比較はさらに難しくなった。
こういった変更にもかかわらず、2023会計年度の業績からは厳しい状況が見て取れる。Microsoftは同社の年次報告書に「デバイスの売上高は、PC需要の減少に加え、かねてより続いているチャネル在庫レベルの高さにより18億ドル、すなわち24%低下した」と記している。