中部電力パワーグリッドは、サイバー攻撃対策の一環として米Tenableの制御系システム(OT)脆弱(ぜいじゃく)性管理ツール製品「Tenable OT Security」を導入した。Tenableが発表した。
中部電力パワーグリッドは、富士川以西の静岡県と愛知県、三重県、岐阜県、長野県の電力供給(配電)を手掛ける。安定した配電が必須の社会インフラ事業における予防的なサイバーリスク対策が急務だったとして、脆弱性管理の強化を検討していたという。
Tenableの発表内で中部電力パワーグリッドのシステム部総括グループは、脆弱性管理では、一般的なITシステムを対象とするツールだと、先行的なデータ収集のために個々の管理対象資産にエージェントソフトウェアをインストールする必要があり、OT環境でのエージェントの使用が配電のための設備の稼働に可用性に影響を与える懸念があると説明する。
このためエージェントをインストールしないTenable OT Securityを選定した。これは、ネットワークのトラフィックを監視して管理対象資産を可視化する仕組みであるため、OT環境と相性が良いという。また、日本語のサポートがある点も採用理由だった。オペレーターを含む多くの担当者がTenable OT Securityを使うため、日本語を使えることが極めて重要だったとしている。その他にもTenableが詳細な脆弱性情報を豊富に蓄積しており、制御システム特有の要件を満たす専門性があることも採用理由だったという。
中部電力パワーグリッドは、Tenable OT Securityを用いて資産の監視と管理状況の可視化を進めているとのこと。可視化した情報を基に、脆弱性管理手法の実施手順や、新しい資産の監視および報告の担当者に関するワークフローを作成しているとする。
システム部総括グループは、「第一にして最大の目標は、資産管理の基礎を確立し、脆弱性管理によって攻撃を防止し、復旧を迅速化すること。Tenable OT Securityがこの目標達成に貢献してくれると期待している」とコメントしている。