「SpiralLinux」を学校の生徒に例えるとすれば、みんなの人気者とは言えないだろう。また、一番可愛い生徒でもなければ、一番頭が良いわけでも、一番目立つわけでもない。米国のテレビドラマ「ザ・ミドル 中流家族のフツーの幸せ」のファンであれば、「Linux」の中のスー・ヘックのような存在だと言えば分かってくれるだろう。常にそこにいて、いつも前向きで、努力家で、自分に正直にいようとする存在だ。
筆者がデフォルト状態の「KDE Plasma」に加えた変更点は、ライトテーマを選んだことと、KDE Plasmaのフローティングパネルを有効にしたことだけだ。
提供:Jack Wallen/ZDNet
そんな派手でもなく、目立った機能もないSpiralLinuxだが、その特長を挙げるとすれば、次のようになる。
- 信頼できる
- 安定している
- 安全である
- シンプルである
SpiralLinuxはそんなOSだ。このディストリビューションを使っていれば、PCが思うように動いてくれず、制御不能に陥る心配からは無縁でいられる。
そんなOSを使いたくない理由などあるだろうか。
SpiralLinuxが平凡でありながら非常に信頼性の高いOSになっている理由は2つある。まず、SpiralLinuxは、市場に出回っている中でも安定性が高いことで知られる「Debian」をベースにしている。Debianが安定している要因の1つは、安定したソフトウェアしか付属していないことだ。従って、SpiralLinuxに付属しているソフトウェアにも最新のものは見当たらない。例えば「LibreOffice」なら、筆者が普段使っているOS(Ubuntu Budgie)のLibreOfficeはバージョン7.6.2.1だが、SpiralLinuxの最新版に付属しているのはバージョン7.4.2.7だ。このバージョンは現在もサポート対象であり、非常に安定している。
そしてもう1つの理由は、デスクトップの修正やカスタマイズを行っていないことだ。例えば今回、筆者が「KDE Plasma」版のSpiralLinuxをダウンロードしてインストールしたところ、デスクトップ環境はデフォルトのままだった。SpiralLinuxの開発者は、KDE Plasmaに何の変更も加えていない。そのままのKDE Plasmaであり、そのままでも問題なく使える。実のところ、ディストリビューションによっては、開発チームがデスクトップ環境に独自の工夫を加えたことによってUIが不安定になっている場合がある。筆者は長年の間に何度かそうした経験をしているが、特に、そのデスクトップが本来非常に安定している場合には、非常にイライラさせられる。
つまりSpiralLinuxは、安定したソフトウェアだけが同梱されており、UIのカスタマイズが行われていないディストリビューションなわけだ。この2点だけでも、重要な作業やコミュニケーションを行っている最中や、ちょっと息抜きをしようとしている間に不具合を起こしたりしない、頼れるOSを求めている人にとっては非常に優れた選択肢になり得る。