リアルタイムデータは今や、拡張現実(AR)やデジタルツイン、5G、IoT、人工知能(AI)、機械学習(ML)、ウェアラブル、ビーコンといったテクノロジーが普及する中、ありとあらゆるところに存在していると言ってもよいだろう。また今日の企業は、重要な基幹業務の全てでリアルタイムデータをストリーミングしていると言っても過言ではない。こういったことが実現できているのは、クラウドベースのプラットフォームと、「Apache Flink」や「Apache Kafka」「Apache Spark」「Apache Storm」といった数多くのオープンソースソリューションのおかげだ。しかし、データが光速、あるいはそれに近い速度で組織間を行き交うという世界を実現するには、まだやるべきことが数多く残されている。
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まず、IDCのJohn Rydning氏による「ストリーミングデータとリアルタイムデータという言葉はしばしば併用され、場合によっては可換なものとして扱われている。全てのストリーミングデータはリアルタイムデータだというわけではなく、全てのリアルタイムデータはストリーミングデータというわけでもない。しかし、企業を対象にした調査によると、ストリーミング関連のユースケースの3分の2超では、超リアルタイムや、リアルタイムでデータを必要としている」という言葉を出発点にしたい。
超リアルタイムで利用されているデータさえある中、企業はその活用に向けて奮闘している。Hazelcastのエンジニアリング責任者であるAvtar Raikmo氏によると、「昨今では、リアルタイムデータの入手とその処理にまつわる価値の理解が急速なペースで進んできている」という。そして同氏は、「個々のユーザーやエンジニアが抱えている複雑さを引き受けるようなプラットフォームが用意されることで、業界全体での採用が加速されてきている。そしてSQLサポートのようなイノベーションによって、こういったプラットフォームが民主化され、少数の人間ではなく、大多数の人間が容易にアクセスできるようになっている」と述べた。
Raikmo氏は、ユースケースとして「音声/動画ストリーミングに向けたエッジでのコンピュートや、AI/ML処理向けのコンピュータービジョン、さらにはアクティブノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドフォン」などさまざまなものがあると述べた。また、これらの他にも目新しいユースケースとして、デジタルツイン、特にモビリティー向けのデジタルツインがあるとした。同氏は「自動車やトラック、ロケットからのリアルタイムデータやテレメトリーデータをリアルタイムで取得できるようになることで、組織は時々刻々と展開されていくシナリオのモデル化が可能になる。またデジタルツインは、現実世界における移動経路や使用エネルギーの最適化、ならびに運転支援機能の発展に貢献できる。スポーツの世界であれば、Formula 1(F1)のストラテジストは、レースパフォーマンスの最大化に向け、最適なピットストップや、タイヤのコンパウンドを決定できるようになる」と述べた。