NTTなどが光電融合デバイスの研究開発事業に参画

國谷武史 (編集部)

2024-01-30 16:11

 NTTは1月29日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の実施企業に採択されたと発表した。光電融合デバイスの研究開発に参画するもので、既に参画する次世代光通信網とともにネットワークと先端半導体の双方で研究開発プログラムに取り組むことになるという。

NTTらが新たに参画する光電融合デバイスの研究開発テーマ
NTTらが新たに参画する光電融合デバイスの研究開発テーマ

 今回採択された研究テーマは、「光チップレット実装技術」「光電融合インターフェースメモリーモジュール技術」「確定遅延コンピューティング基盤技術」の3つになる。光チップレット実装技術ではNTTのほかにNTTイノベーティブデバイス、古河電気工業、NTTデバイスクロステクノロジ、新光電気工業、確定遅延コンピューティング基盤技術ではNECと富士通が参画する。光電融合インターフェースメモリーモジュール技術では、キオクシアが代表提案企業になり、NTTと共同で参画している。

NTT IOWN推進室長の荒金陽助氏
NTT IOWN推進室長の荒金陽助氏

 同日記者会見したNTT IOWN推進室長の荒金陽助氏は、今回採択された研究テーマが、NTTの推進する次世代情報通信基盤「IOWN」において低消費電力やディスアグリゲーティッドコンピューティングを実現する「IOWN Computer」にとって重要なものだと説明。特に光電融合インターフェースメモリーモジュール技術は、超高速の光信号とメモリーチップを接続する「Photonic Memory Gate」を実現するとし、ここでは関連技術に強みを持つキオクシアと推進していくとした。また、確定遅延コンピューティング基盤技術では、処理の遅延を事前に正確に把握できることから極めて精度の高い分散処理を低消費電力で実行できるようになるという。

 これらの研究テーマは、IOWNにおける光信号と電気信号を処理する光電融合デバイスの実現にとっても重要になるという。NTTグループでは、2025年度に光電融合デバイスのボード接続、2028年度にチップ間接続、2032年度にチップ内実装の開発ロードマップを掲げており、荒金氏は採択された研究テーマの成果がロードマップの前倒しの実現にも寄与することを期待したいなどと述べた。

 NTTは、2022年から情報通信研究機構(NICT)の「Beyond 5G 研究開発促進事業(一般型)」、2023年から「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」にも参画している。今回の参画により、IOWNではネットワークとデバイスの両面で研究開発が促進される影響などの効果が期待されるという。

 荒金氏は、研究テーマに参画する各社や、IOWNの標準化団体「IOWN Global Forum」のメンバー組織とも連携して、取り組みを推進していきたいと抱負を語った。

NTTが参画しているIOWNの研究開発領域
NTTが参画しているIOWNの研究開発領域

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]