セールスフォース、CRM向け生成AIアシスタント「Einstein Copilot」の正式ベータ版を提供

大場みのり (編集部)

2024-02-29 14:57

 Salesforceは米国時間2月27日、カスタマイズ可能かつ対話型の顧客関係管理(CRM)向け生成AIアシスタント「Einstein Copilot」の正式ベータ版の提供開始を発表した。同アシスタントは、ローコード開発基盤「Einstein 1 Editions」を購入するか、「Enterprise Editions」「Unlimited Editions」のいずれかに追加することで利用できる。日本での提供開始時期は未定としている。

 同社は、ほかのAIアシスタントには有用な回答を生成するための企業データが不足しているものもあるとした上で、Einstein Copilotにおいて顧客は高額なAIモデルのトレーニングを行うことなく厳格なデータガバナンスを順守しながら、自社で保有する信頼できるデータを活用して回答を生成できると説明する。

Einstein Copilotの利用イメージ
Einstein Copilotの利用イメージ

 同アシスタントはSalesforceのCRMアプリケーション上で、質問への回答、コンテンツの要約、新しいコンテンツの作成、複雑な会話の解釈、タスクの自動化を行い、単一かつ一貫性のあるユーザー体験(UX)を実現するという。

 Salesforceの会長 兼 最高経営責任者(CEO)のMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏は「AIは、われわれの業界の歴史において最も重要な瞬間である。AIは顧客との関係を深め、生産性を向上させ、あらゆる企業の利益率を向上させるだろう。Einstein Copilotは、AIと対話するための素晴らしい直感的なインターフェース、ワールドクラスのAIモデル、そして何よりもAIの恩恵を受けるために必要なデータとメタデータの深い統合をもたらす。Einstein Copilotは、企業が自社の顧客との関係で何が起きているかを真に理解する能力を備えた唯一のCopilotである」とコメントしている。

 Einstein Copilotは、「Data Cloud」から信頼できるビジネスデータを活用して回答をグラウンディングし、高品質のアウトプットに必要な文脈を提供する。グラウンディングとは、AIが言葉や概念を具体的な物や実際の世界と結びつけて理解する能力を指す。これによりEinstein Copilotは、信頼できる企業データに基づき、より正確でカスタマイズされた回答を生成できるとしている。

 Einstein Copilotには、あらかじめプログラムされた機能、自動応答、同アシスタントが実行するビジネスタスクなど、すぐに使えるアクションのライブラリーが用意されており、プロンプトが表示されるとAIがユーザーに代わって実行する。同アシスタントは、複数のアクションを組み合わせることで、動的なマルチステップを計画する。例えば、カスタマーサービスのエージェントがEinstein Copilotに商談をクロージングして販売機会を作るか、あるいは付属品を販売するよう依頼すると、Einstein Copilotはエージェントの意図を理解し、サービス体験の流れの中でこれらのタスクを実行するという。

 Einstein Copilotは、特定のセールス、サービス、マーケティング、コマース、ITのタスクを達成するようにカスタマイズでき、企業や業界のポリシーを適用可能。「Copilot Builder」は同アシスタントのカスタムアクションを作成、「Prompt Builder」は業務フローの中でカスタムプロンプトを作動、「Model Builder」は独自のAIモデルを用いてEinstein Copilotのカスタム機能を強化する。

 Einstein Copilotは、「Einstein Trust Layer」が提供するプライバシー/セキュリティ対策により、信頼できるAIのやりとりを提供する。Einstein Trust LayerはEinstein 1 Platformの一部であり、個人情報(PII)のマスキングや有害性に対するアウトプットの評価を行うほか、Salesforceの大規模言語モデル(LLM)パートナーとのゼロデータリテンションの取り組みを通して、不正アクセスやデータ侵害から情報を保護する。

 想定されるユースケースとして、営業担当者は自然言語のプロンプトで記録を要約したり、カスタマイズされたコミュニケーションを生成したりすることで、パーソナライズされた顧客エンゲージメントを提供し、商談の成約を加速させることができる。カスタマーサービスやフィールドサービスのエージェントは、異なるシステムから関連する回答やオファー、データを表示することで、問題の解決を合理化して顧客満足度の向上につなげられる。金融サービス企業は、データの収集と分析を自動化することで、顧客のオンボーディングを簡素化するとともに、パーソナライズされたファイナンシャルプランを作成できる。

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