富士通は7月25日、2024年度第1四半期(2024年4~6月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比3.8%増の8300億円の増収となり、営業利益は前年同期のマイナス18億円の赤字から213億円の黒字に転換した。調整後営業利益は同806.6%増の236億円、税引前利益は同216.5%増の264億円、当期純利益は297.2%増の168億円の大幅な増益となった。
富士通 代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏
業績を説明した代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏は、増収増益という第1四半期の好業績について「社内計画を若干上回る結果で、目標達成に向けて順調な滑り出しができた」と自己評価しながらも、「計画比でプラスでも、もともと第4四半期偏重のビジネススタイルであり楽観はしていない。どこかが特段良くなったというポイントがなく、インパクトある内容ではない。あえて言えば、大きな失敗といったネガティブな要素が少ない四半期。よく言えば、うまく全体をコントロールできた」と控えめなコメントに終始した。
とはいえ、決算資料には力強い数字が並ぶ。主力のサービスソリューションの売上収益は7.8%増の5016億円、調整後営業利益は67.1%増の349億円となった。調整後営業利益率は7.0%で、前年同期から2.5ポイント改善。サービスソリューションの売上総利益率も34%となり、前年同期の32%から2ポイント上昇した。
サービスソリューションの成長を支える「Fujitsu Uvance」の売上収益も37.1%増の965億円という高い伸びを見せ、サービスソリューション全体に占める売上構成比が前年同期の15%から今期は19%に拡大した。
Fujitsu Uvanceは、2024年度の売上収益で4500億円を計画しており、サービスソリューション全体における構成比は20%に拡大することになる。第1四半期の実績から逆算すれば、既にこの時点で達成が射程距離に入ったとも判断できる。
Fujitsu Uvanceの内訳を見ても高成長ぶりが分かる。Vertical(社会課題解決の業界横断の4分野)の売上収益は前年同期の103億円から約3倍となる294億円に拡大。Horizontal(業界横断を支える3つのテクノロジー基盤)の売上収益は前年同期比2桁増の671億円となった。
磯部氏は、「価値を直接提供するVerticalのグロスマーシン率は40%近い。難易度が高く、高い価値を提供できる。このビシネスを大きく成長させるべくオファリング開発を進めている。オファリングを投下すれば、早いタイミングで売上収益を計上できるメリットもある。開発投資先行で利益率は低いが、既に利益を押し上げる効果がある」と述べる。